出版社内容情報
弥生社会は木材資源の大量消費社会であり、石器・金属器以上に弥生人の生活をかたちづくった。そこに残された技術の痕が、森と集落、また集落同士の関係を解き明かす鍵となる。石器・金属器に依拠して語られがちな弥生社会の姿を、後景に退いていた木工技術論が塗りかえる。
内容説明
「木」に刻まれた痕から先史の風景が立ちあがる。森と集落、また集落同士の関係を解き明かす鍵となる木器。後景に退いていた木工技術論が塗りかえる弥生社会の姿。見えてきたのは、専業化を避け権力が押し出されることのない、ゆるやかな社会のイメージ―。石器・金属器に依拠して語られることが多かった弥生社会の経済システムを、残された「手の痕」が浮き彫りにする。
目次
木材が紡ぐ新たな歴史像
第1部 木材加工と技術(木材加工の基礎研究;木工具の運用と展開(1)木工具柄
木工具の運用と展開(2)柱状片刃石斧 ほか)
第2部 木材加工と形態(木器の生産と展開(1)広鍬
木器の生産と展開(2)泥除
木器の生産と展開(3)刳物容器 ほか)
第3部 木材資源と弥生社会(木工体制論への視角;弥生時代の木器生産構造;弥生時代の木材供給機構)
木材と弥生社会
著者等紹介
鶴来航介[ツルギコウスケ]
福岡市経済観光文化局文化財活用部埋蔵文化財課文化財主事。京都大学大学院文学研究科修了、博士。主な著作に、「泥除の系列」(『古代文化』第71巻第4号、古代学協会、2020年、第10回角田文衛古代学奨励賞受賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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