出版社内容情報
「最後のローマ人」による主著が原文から待望の新訳。ローマの名門に生まれた著者は、東ゴート王国に仕えて昇進、公務の傍らギリシア論理学書の翻訳・註解に努めるも、反逆罪に問われて幽閉、処刑された。彼が獄中で書かれた本書は、全5巻をとおして散文と韻文を交互に配し、人格化された「哲学」との対話形式を採る。中世では聖書に次いでよく読まれ、チョーサーや女王エリザベス1世らも自ら英訳した。
内容説明
「最後のローマ人」による主著が原文からの待望の新訳。ローマの名門に生まれた著者は東ゴート王に仕えて昇進、公務の傍らギリシア論理学書の翻訳、註解に努めるも、反逆罪に問われて幽閉、処刑された。獄中で書かれた本書は、全5巻をとおして散文と韻文を交互に配し、人格化された「哲学」との対話形式を採る。中世では聖書に次いでよく読まれ、チョーサーやエリザベス1世らも自ら英訳した。
著者等紹介
松〓一平[マツザキイッペイ]
富山大学名誉教授。1953年大分県生まれ。1982年京都大学大学院文学研究科博士後期課程学修退学。富山大学教養部講師、助教授、人文学部助教授、教授を経て2019年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ロビン
15
5世紀、ローマの名門に生まれ東ゴート王に仕えて昇進するも、政争に巻き込まれ幽閉されて処刑されたボエティウスが、獄中で書いた本。キリスト教信仰とプラトンを始めとする哲学を両立し、人間としての正しき在り方を自己規定していったボエティウスを、やはり政争で故国を追われたダンテも良く読んだ。私はペトラルカを想起したが、調べてみるとやはり彼も影響を受けていたようだ。東洋では「天道は是か非か」と問うた司馬遷も思い起こされる。投獄と先に待つであろう刑死を前に、深い思索をし、その果実を後世に残したボエティウスを尊敬する。2024/12/28
いとう・しんご singoito2
9
ヤスパースの「哲学的信仰」で複数回言及されているので読んで見ました。ゴート人の王の下で元老院の執政官としてローマ人の利益を代表しつつ、政敵に依って幽閉され処刑を待つ間に為された著作。ナチスによる強制収容所送りの恐怖の物と8年間を過ごしたヤスパースの境遇と重なる。啓示宗教ではなくギリシャ以来の理性の学問=哲学に「なぐさめ」を求めた点も共通する。少し時間をおいて再読したい名著。2025/02/14