出版社内容情報
古代ギリシア世界でその実態があまり知られていなかった「連邦」について、その背景や利害関係を碑文を含めた資料によって解明する。
内容説明
古代にはEUに比すべきポリスの連合体があった。存在が知られていたわりには実態がよく分からなかった古代ギリシアの連邦。さまざまな状況の中で展開された都市国家ポリスと連邦の関係を解明する。
目次
連邦をめぐる議論とその展開
第1部 連邦・ポリス・エトノス(対立―ボイオティア連邦における独立・自治(アウトノミア)
共生―アイトリア連邦における市民権
統合―アカイア連邦におけるエトノス
共存―連邦における紛争解決)
第2部 連邦の変容と記憶(伝統―ローマ時代のリュキア連邦;適応―ローマ時代のギリシア本土における連邦;受容―古代ギリシアの連邦認識と近現代)
新しい古代ギリシア史をめざして
著者等紹介
岸本廣大[キシモトコウタ]
同志社大学文学部文化史学科助教。京都大学大学院文学研究科博士後期課程位取得退学。京都大学博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みのくま
9
複数のポリスが共同で運営する連邦はポリスの自立性をある程度担保しながら存立していた。のちにアメリカ合衆国が建国時に古代ギリシアの連邦を参照したようだが都合の良い引用にすぎなかった。その後欧州でEUが成立するが、EUには一部連邦と共通する要素が入っているという。ポリスや国民国家が独立していながら、より高次の共同体の一員となっているという政治形態は、古代ギリシアと現代に見られる注目すべき共通点なのだ。他方で今まで古代ギリシアはポリス中心の歴史観であり連邦への注目度は低かった。新たな古代ギリシア史の片鱗を感じる2024/08/17
Go Extreme
1
古代ギリシアの連邦研究の可能性 連邦をめぐる議論とその展開 連邦・ポリス・エトノス 対立―ボイオティア連邦における独立・自治 共生―アイトリア連邦における市民権 統合―アカイア連邦におけるエトノス 共存―連邦における紛争解決 連邦の変容と記憶:伝統―ローマ時代のリュキア連邦 適応―ローマ時代のギリシア本土における連邦 受容―古代ギリシアの連邦認識と近現代 新しい古代ギリシア史をめざして:総括 連邦に基づく新しい古代ギリシア史2021/05/16