ゼウスの覇権―反逆のギリシア神話

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  • サイズ A5判/ページ数 424p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784814003068
  • NDC分類 164.31
  • Cコード C1098

出版社内容情報

ミュケナイ時代の線文字Bでは最高神ではなかったゼウスが、覇権の獲得に至る謎を、古典文献を駆使しながら解明する。

内容説明

ギリシア文学の嚆矢とも言うべきホメロスの『イリアス』において、ゼウスは「神々の父」としてオリュンポスの神々を圧倒的な力でその支配下においている。オリュンポス諸神はゼウスを頂点とする家父長的な支配構造のもとに統合され、ゼウスの権力は盤石なものと考えられていたようである。しかし、ミュケナイ時代の線文字B文書によれば、ゼウスが他の神々に勝る最上位の地位を得ていたという証拠は見いだせない。むしろ、そこで特権的な地位を確保しているようにみえるのはポセイドンである。ミュケナイ時代以後において、いかにしてゼウスは覇権を確立するに至ったのか。本書はその謎にせまる。

目次


第1章 女神テティスの権能
第2章 ヘレの黄金の鎖
第3章 兄弟神ゼウスとポセイドン
第4章 女神アテネの誕生
第5章 予知の神プロメテウス
第6章 ヘレの息子テュポン
第7章 デメテルとイアシオン
第8章 アプロディテの悲しみ
結び

著者等紹介

安村典子[ヤスムラノリコ]
1945年東京都生まれ。国際基督教大学卒業、京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学、ロンドン大学大学院博士課程修了。PhD(ロンドン大学)。元金沢大学教授。著作他、論文多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Fumitaka

4
ホメロスやヘシオドスの作品に「ゼウスを主神とする家父長的世界」と「それに対する反乱」、そして「その反乱に対する規制の価値観の勝利」が描かれている様子を論じる。これらの作品が、全ギリシア的な価値観を表すものとして歌われていたならば、かつては各地で都市国家として独立していたギリシア地域を、一つにまとめる必要性が感じられた時期も当然あったであろう。トゥーキュディデースでさえも「ギリシア人が一つにまとまったのは割と最近のはず」という、ナショナリズムという言葉が存在しなかった時代の人とは思えぬことを書いている。2022/05/16

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