出版社内容情報
地球全体の環境変動や測定に重要な南極。日本の南極測地学の泰斗が、歴史と最新の方法を紹介する初の包括的参考書。オールカラー。
内容説明
大気、水、地殻は常に互いに影響を及ぼしあう。地球の回転軸は、質量としての大気や水の分布変化の影響を受け、絶えずふらつく。中でも南極の変動、すなわち大陸氷の流出や局地的な多量の積雪は、地球全体としての質量バランスを崩し、地球の揺らぎは大きくなる。一方、こうした変動現象を精密に測定するには、多くの測地観測点での連携した作業が必要になるが、南半球は陸地面積が少なく観測点が不足する。そこで重要になるのが、南極大陸である。地球全体の変動にとってもその測定においても極めて重要な場所、南極を“測る”初めての包括的参考書、オールカラー。
目次
第1部 衛星観測から探る南極の氷床変動(棚氷と氷山;合成開口レーダーによる氷床観測;SAR干渉法による氷床接地線の同定 ほか)
第2部 潮位観測から探る南極の海洋変動(昭和基地での潮汐観測の歴史;海上保安庁水路部による2000年代半ばまでの解析結果;潮位データの再解析と長周期海水位変動 ほか)
第3部 重力観測から探る南極の地殻変動(地球形状と重力;ばね式移動観測用相対重力計;超伝導重力計(Superconducting Gravimeter:SG) ほか)
著者等紹介
渋谷和雄[シブヤカズオ]
国立極地研究所・名誉教授、総合研究大学院大学・名誉教授。昭和23(1948)年生まれ、昭和53年1月東京大学大学院理学研究科地球物理学専門課程博士課程修了、理学博士学位取得。同10月国立極地研究所研究系助手。以来南極での固体地球物理学、測地学観測・研究に携わり、平成25年3月同研究所・教授にて定年退職。昭和54年11月‐同56年3月第21次南極地域観測隊員として昭和基地越冬、昭和61年11月‐同63年3月第28次南極地域観測隊員としてあすか基地越冬、平成9年11月‐同11年3月第39次南極地域観測隊長(兼越冬隊長)。その他、1984年、1985年、1987年の3シーズン、日、米、NZとの共同観測にてアメリカ・マクナード基地、NZ・スコット基地においてエレバス火山観測に従事、1985年全米科学財団より、南極功労賞を授与される
福田洋一[フクダヨウイチ]
京都大学大学院理学研究科・教授。昭和30(1955)年生まれ、昭和54年京都大学大学院理学研究科地球物理学専攻修士課程修了、昭和55年弘前大学理学部助手、昭和62年東京大学海洋研究所助手、平成4年京都大学理学部付属地球物理学研究施設助教授、平成8年京都大学大学院理学研究科助教授を経て、平成19年より現職。理学博士。専門は測地学、特に重力測定やその応用に関連した研究で、第27次、28次、33次、45次、55次南極地域観測隊員(夏隊)として観測に従事。また、令和元年11月~12月には、韓国のジャンボゴ基地およびイタリアのマリオ・ズッケリ基地で絶対重力測定に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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