出版社内容情報
「英雄伝」の名に違わぬ稀代の両傑アレクサンドロスとカエサルのほか、二大弁論家デモステネスとキケロら十人四組を収録。(全6冊)
内容説明
両雄アレクサンドロスとカエサル、二大弁論家デモステネスとキケロらを収めた待望の新訳。
目次
アレクサンドロスとカエサル(アレクサンドロス;カエサル)
ポキオンと小カトー(ポキオン;小カトー)
アギス/クレオメネスとグラックス兄弟(アギス/クレオメネス;グラックス兄弟;アギス/クレオメネスとグラックス兄弟の比較)
デモステネスとキケロ(デモステネス;キケロ;デモステネスとキケロの比較)
著者等紹介
城江良和[シロエヨシカズ]
四天王寺大学名誉教授。1957年兵庫県生まれ。1985年京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。2017年四天王寺大学退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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roughfractus02
6
著者が単なるプラトン主義者ではないと感じるのは、哲人統治の理念による体制の実現というトップダウン的観点でギリシャ・ローマの指導者たちを評価していないからである。アリストテレスに教育されてもアレクサンドロスは哲人統治を実現したとはせず、逆にそう見えないキケロに哲人統治の片鱗を見る著者は、戦争を抑えつつ平和的統治へと試行錯誤する実践をそう解釈していたように思える。本巻では、共和制から帝政に移る時期のローマの人々とマケドニアへと覇権が移行するギリシャの人々の平和的統治へ向かう過渡的な実践が多角度から抽出される。2022/06/03
いとう・しんご
5
一人の人の青年時代から最期までを伝記で綴ると、公平に書こうとすれば老いに伴って頑固になったり、変節したりで「騏驎も老いては駑馬に劣る」様を描くことになるのは、公平の伝記を書こうとするならやむを得ないのかもしれない。とはいえ頑固者小カトーの壮絶な死を、けして美化しないところにこそ、プルタルコスの本領があるのかもしれない。2024/11/05
Fumitaka
0
口汚く名誉欲丸出しで小物っぷりが映えるキケロが掉尾を飾るこの巻だが、しかし我々の中にも彼の様な部分がないだろうか。まあ実際に近くにいて欲しくはないですが。うっかり口を滑らせるにしろ、小カトー程度に留めておきたい。あと『ヒストリエ』だとフォーキオンよりも格下っぽいデモステネスが割と苦労人みたいで、でも「大多数には感情的に訴える方が受ける」というのは伍長閣下も言ってたので、この辺「煽動政治家」の謗りを免れない気がする。民衆は基本タカ派路線を好むのである。今回も非常に詳細な注釈がありがたかったです。感謝します。2019/08/30