出版社内容情報
東南アジアの高齢者・障害者ケアの民族誌から、「自助努力」「アクティブ・エイジング」の罠に陥らない、新たなケア原理を模索する。
内容説明
これまでの社会福祉論では、先進国が主流として扱われ、中進国や発展途上国は専らその「遅れ」が指摘されるばかりであった。しかし、東南アジアでは、超ハイペースで少子化・高齢化が進み、また移動労働などによる家族の変化の中で急速に増大するケアニーズに対して、制度整備の遅れを埋める形で、文字通り生きる実践としてのケアが立ち現れている。欧米では市場原理と個人主義へのアンチテーゼとして提起された「社会全体で担うケア」という論理が、元来、東南アジア社会には内包されているのではないか。ネオリベラリズムのもとで主張される「自助努力」や「アクティブ・エイジング」を東南アジアから捉え直し、社会に埋め込まれたケアのつながりの活性化から、新たなケア原理を模索する。
目次
東南アジアにおけるケアの潜在力―生のつながりの実践
PROLOGUE 北タイでHIV陽性者とともにケアを考える―映像制作から見えたケアと関係性
第1部 グローバルとローカル制度と実践の展開
第2部 誰がケアするのか?変わりゆく家族とケアの揺らぎ
第3部 移動し往還する人々とケアの広がり
第4部 間の新たなケア・イニシアティブ―コミュニティと宗教
EPILOGUE 草の根国際交流の実践としてのケア―フィリピン田舎の小さな助産院が結ぶ日比のつながり
著者等紹介
速水洋子[ハヤミヨウコ]
京都大学東南アジア地域研究研究所教授。1959年生まれ。ブラウン大学大学院博士課程修了、Ph.D.(人類学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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