内容説明
「主体化」論理の日本語と「客体化」論理の欧米言語の間で互換(翻訳)は可能なのか?今、哲学・言語学・文学・言語教育の基盤が問い直される。言語が主体による外部世界の認知的解釈の反映であるという、認知言語学のパラダイムに基づく類型論。これまでの機能言語学的類型論の流れを汲んだ言語類型論の研究とは異なり、事態把握に関わる主体・客体の認知モードという視点から言語現象の多様性を捉え、説明している。
目次
第1部 「客観」という名の主観(本書の目的と理論的背景;言語類型論における「客観」主観の限界)
第2部 言語における「客体化」論理:英語を中心に(言語類型論における文法カテゴリの諸問題:「格」・「主語/目的語」の類型論における非普遍性;「客体化(objectification)」の認知メカニズム:「類像性」と「認知Dモード」)
第3部 言語における「主体化」論理:日本語を中心に(「日本語」の論理1:「認知様態詞(形容詞)」と「認知標識辞」の「が/ga/(由来・契機)」
「日本語」の論理2:認知標識辞「は/wa/・が/ga/・で/de/・を/wo/・に/ni/」
「日本語」の論理3:「態」及び「時制」の不在
「日本語」の論理4:「音=意味」による「主体化」と「主体化」論理の拡張及び変容)
第4部 言語のグレイディエンス:英語の中の「主体化」論理と日本語のアクロバシー(英語における「主体化(modalization)」現象:「中間構文」・「構文イディオム」・「場所主語構文」・「再帰構文」
日本語のアクロバシー:「造語」と「脳内処理」
「認知言語類型論」が予測する世界の言語のグレイディエンス分布)
著者等紹介
中野研一郎[ナカノケンイチロウ]
1959年京都府生まれ。1983年金沢大学法文学部英文学科卒。2011年京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程単位取得満期退学、京都大学博士(人間・環境学)。関西外国語大学短期大学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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