BLOOM COLLECTION
通過者

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 709p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784813271567
  • NDC分類 953
  • Cコード C0097

出版社内容情報

フランス犯罪小説新時代の太陽、グランジェのカメラ・オブスキュラが映し出すアンダーワールド≪あらすじ≫
濃霧に沈むボルドー、深夜の駅で完全な記憶喪失と偽の人格を作り出す精神障害―遁走性フーグ症―のある男が救助され、精神科医マティアスのもとへ連れられてきた。同時刻、駅の外れで牛の頭をかぶせられた全裸死体が発見され、若い女警部アナイスが現場へ急行する。マティアスとアナイスの抱えたものは、捻じれながら絡み合っていく。
マティアスは、患者の正体を探ろうとするうちに、自らもまた遁走性フーグを発症して記憶喪失と人格遷移を繰り返してきたことに気付かされる。そして、自分こそが殺人犯なのではないか、と疑いを抱く。孤独な四十代の精神科医が、その原因である多重人格性を受け入れ、遁走する自分を追いながら過去を切り開き、真犯人を探しだそうとする。
女警部アナイスは、次々に発見される死体を手掛かりに、事件の真相を追い求め、同時にマティアスを追い求める。マティアスは犯人ではないとの根拠のない確信と、制御不能な渇望に駆り立てられたアナイスは、深刻な神経症を再発し、動き続けるために迷いなく覚せい剤を打つ。アナイスは捜査の正道を踏み外し、やがて囚われの身となった。
霧のボルドーからマルセイユのホームレス世界へ、ニースのカーニバルからパリの現代アートシーンへと、予想できない鋭角さで展開してゆく物語を、孤独な二人マティアスとアナイスのもどかしい愛が走る。
歪んだ真実は嵐の真っ只中、神話の舞台で二人を待っていた。
≪著者プロフィール≫
1961年生まれ、パリ在住。独立系ジャーナリストで、国内外の多数のメディアと共同して活躍した。小説家にして脚本家、漫画原作家でもある。
≪訳者プロフィール≫
吉田恒雄
1970年以降、パリ在住。会社勤めを経て翻訳家に。訳書には『ゾルゲ 破滅のフーガ』(岩波書店)、『タルタロスの審問官』、『ニコラ警視の事件』シリーズ(ランダムハウス講談社)、『死のドレスを花婿に』(柏書房)、『ナチ強制収容所における拘禁制度』(白水社)などがある。

ジャン=クリストフ・グランジェ/吉田恒雄 訳[ジャン・クリストフ・グランジェ]
著・文・その他

内容説明

フランス犯罪小説新時代の太陽、グランジェのカメラ・オブスキュラが映し出す幻惑のアンダーワールド。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ケイ

112
700ページ以上の単行本で上下2段組。腕が疲れて読むのに何日もかかった。内容をとりこぼさないように真面目に取り組んで読んだのに...この結末は、さすがにないなと思う。オープンエンドは嫌いではないが、これでは最後に奥行が拡がらず、疑問がいつくも残る。“誰なのか?” という事を追っている時は楽しかったのに。破綻していると決定的な違い思い始めたのは、多分母親のところから。精神的に破壊されている人が多すぎることも不可解。頑張って最後まで読んだのになあ。2018/12/07

白玉あずき

34
あぁ長かった しんどかった 面白かった。プロの殺人者達を相手に決して負けないダイハード・マティアス。散々主人公を応援した挙句の最後の一言・・・どう解釈してやろうか!?サイコパスやら薬中やら、警視や警部といった法執行組織の人間までが危ない人物ばかり。ホームレスの世界のおぞましさにもびっくりだ。最後まで力業で走り抜けた作者の体力には脱帽。現実のおフランスは、こんな地獄めいた世界では無いと、だれか断言しておくれ。2019/07/21

ばんだねいっぺい

29
グランジェさんの煉瓦本シリーズ。通過者。時間旅行のような血みどろの自分探しの旅の先にはの物語。“フーグ”って恐ろしい病気だなー。死者の国もそうだったけど、この人のライトモチーフは、クリムゾンリバーの寓意なんだな。2020/05/01

昼夜

23
2段で700頁超で読みきれるか心配になりながら第1章を読み終えたら、壮大な風呂敷の図の片鱗が見えて全てを見たくて堪らなくなりました。章が終わる度に隣の線とどう繋がるのかわからない複雑さにも魅了されて長かったエンドマークまで読み応えがあって達成感がありました。2018/11/01

stobe1904

20
【グランジェの心理ミステリ】上下段組み700ページ超の大作を読み終えた率直な感想は、『出口のない迷宮のような物語』に飲み込まれた感じだった。長大な作品なので、あらすじをさらっと紹介するのは難しいが、ギリシャ神話をモチーフとしたグランジェお得意の猟奇的な連続殺人事件とその壮大な構図はこの作品でも健在。これまでの作品と同様、スケールの大きさと結末のあっけなさのアンバランスさに物足りなさを感じるが、それでもグランジェらしい読み応え十分なミステリだと思う。★★★★☆2021/07/08

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/13050602
  • ご注意事項