内容説明
9月16日午後10時半獄中死。突如終わったアクリル板越し20センチの“戦争”。411通の手紙と131回の面会。『マブチモーター事件』犯が最期の獄中でみせた死刑の記録。
目次
1章 接触
2章 故郷
3章 強盗
4章 死刑
5章 東拘
6章 家族
7章 舌戦
著者等紹介
斎藤充功[サイトウミチノリ]
1941年、東京生まれ。ノンフィクション作家。東北大学工学部中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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JunTHR
4
労作!マブチモーター事件の確定死刑囚・小田島鐵男の身元引受人として、十年に渡る面会を続けた著者の総括の書。改めて知るえげつない犯行、本人も意識していたという永山則夫を思わせるような境遇も読ませるが、なにより著者・斎藤充功と小田島の交流こそが主題。身元引受人ではあるが、取材者であり、死刑存置論者でもある著者は、小田島にとっては唯一の社会との窓口であり、その面会は拘置所でも生活の唯一の楽しみだっただろう。一言では表せない奇妙な関係性を保ったまま、小田島は獄中でがんにやって執行を免れ、病死を迎える。稀有な記録。2017/11/13
turutaka
0
著者と死刑囚の奇妙な交流が主題だが、死刑囚の身勝手な犯行は衝撃。ロクな計画性もなく、ただ殺人を犯すだけ。思想も意義もなく、ただ人を殺めるだけ。本書は死刑囚の幼年時代から掘り下げているが、なるほどガキの頃から、行き当たりばったりの犯罪をして少年院、刑務所に何度も入っている。矯正されず犯罪者として拡大再生産されるだけの人間だ。こういう本質的に『悪』な人間を社会が受け入れる必要は無いと思う。批判的に描かれている田中伊三次のコメントの方が遥かに正義だと思うし、アムネスティなんかの内政干渉に負けるべきでは無い。2018/01/30