内容説明
戦時下の岡山県の寒村で起きた「津山三十人殺し」と同事件をモデルに執筆された『八つ墓村』…。二つの現場を結ぶ点と線をたどりながら、現代に生成する都市伝説の「虚実」を解体した白熱のノンフィクション。
目次
序章 『八つ墓村』とはなにか?(要蔵の「三十二人殺し」;「津山三十人殺し」事件 ほか)
第1章 「津山三十人殺し」の現場を歩く(「八つ墓村」の現場へ;地元紙が伝えた惨劇 ほか)
第2章 「八人の落武者殺し」伝説を追う(世界各国の大量殺人事件;「八つ墓村」の模倣事件 ほか)
第3章 史実と伝説を巡る旅路の果てに(地図から消えた村「杉沢村伝説」;『八つ墓村』の舞台となった温泉街 ほか)
終章 幻の村、「八つ墓村」は実在する(「三十人殺しの村はあっちや!」;都井睦雄の恋人・Y子の存在 ほか)
著者等紹介
蜂巣敦[ハチスアツシ]
1963年栃木県生まれ。早稲田大学第二文学部中退。雑誌編集者を経て、フリーライターとして活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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山田太郎
25
もうちょっと面白くなりそうなんだけどなと思いつつ読む。岡山ってなんかへんなとこだと失礼ながら思った、すいません。2012/02/24
のの
15
うーん、全体的にこじつけ感がつよくて微妙でした。津山三十人殺しの犯人が軍人としての行動倫理に則って犯行を起こしたとか、うーん…?「八つ墓村」のモデルとなった場所を探そうとしていたけれど、結局結論は「あなたのこころの中に」みたいな感じなのも肩透かしをくらった感じ。取材もすごくあっさりした感じで、単に時間がとれなかったから3年にもわたってしまっただけで、一週間あれば足りるんじゃ…と辛口なことを思ってしまった。で、肝心の八つ墓村はちゃんと読めていないので読みたいです…。2013/10/29
Dr.strangelove
5
内容としてはコンビニに並ぶ程度。ミステリファンが唸る様な目新しさはない。津山事件は横溝の生んだ物語ではなく、被害者と加害者の在る凶悪事件であった。物語は探偵が現れ収束するが、現実の事件は未だに禁忌となって生き続けている。その確認をさせる意味はあった。2014/06/12
JunTHR
5
創作物である『八つ墓村』と実際の事件津山30人殺しとの関係性に主眼がおかれ、史実との差異や関連、さらに地元に残る都市伝説や怪談などと絡めた紀行文的ノンフィクション。とはいえ『八つ墓村』を読んだことも観たことない自分にはなかなか辛い。好きな人にはたまらないだろうな。事件に関する情報はこれ以降に出版された『津山三十人殺し 最後の真相』『津山事件の真実』という重要作を読んでいたので特筆するような得るとこはなし。2013/11/14
きら
4
横溝正史の書いた八つ墓村のモデルは、日本でかつて実際に起こった猟奇的な大量殺戮事件、「津山三十人殺し」であることはよく知られている。本書は、現地まで飛んでその検証をおこなったルポタージュ。ミリオン出版にしては・・・と書くと失礼かもしれないが、比較的良くまとめられている。下世話すぎたりオカルトに走りすぎたりすることなく、八つ墓村のモデルとなった地に迫っていく。津山三十人殺しそのものの陰惨さよりも、横溝正史の取材力と構成力に思いを馳せながら読んだ。2010/02/17