内容説明
巨大な男の顔がパッと消えたその先…「顔」、目撃者の話を繋ぐと辿りつく驚愕「白い人たち」、珍しいと写メを撮ったら連鎖する不幸「虫」、旧家の蔵に仕舞われた太鼓をふざけて叩いた顛末「鼓動」、常連の飲み屋にきた不思議な客、彼が訴える恐怖とは「穴」、など44編を収録。不可思議な狭間、奇妙な穴、背後に憑く闇、さまざまな怪異。解決できない不安な怪談実話!
目次
顔
平面世界
滑り台にて
目を瞑る
えびすさま
まだですかぁ
シュークリーム
川の中で
髪の毛
お祓い〔ほか〕
著者等紹介
小田イ輔[オダイスケ]
宮城県出身。職を転々とし、『FKB饗宴5』にて初登場、『FKB怪幽録 奇の穴』で単著デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
156
本書は著者のデビュー作で2冊目の「呪の穴」で怖くないと評判だったと書かれていますが私はハードでないソフト怪談があってもいいと思うのですね。「怖くなければ怪談じゃない」と私は思いませんし優しい怪談もあっていいですよね。『目を瞑る』高校へ自転車通学する菅原君には悪い癖があって下りの坂道で目を瞑って何秒耐えられるかを試し今迄の自己最長記録は15秒だった。ある日無茶をして真ん中付近で目を瞑った所、体がふわっと浮いて激しく転倒して自転車は大破するが幸いにも殆ど無傷だった。家に帰って親に報告すると車で回収してくれた。2020/12/27
HANA
55
実話怪談集。怪談というより奇妙な話で占められている一冊。昨今このような不思議な話系の実話怪談が目立つけど、やっぱ直球ストライクで幽霊や怪異を直接に出すというのとは、時代が移り変わっているのかしら。この本に集められているのも怖いというより首を捻るような話が大部分、ただしその中には現実とのあわいの中に肌寒くなるような話も含まれていて、それがとてもいい。その極北ともいえる「お祀り」等は、隠されている部分を想像するだけでどんどん怖さが増してくる素晴らしい一品。ストレートな怖さもいいけど、こういうのもいいものです。2014/08/22
pulpo8
25
小田イ輔デビュー作。デビュー作はこんな感じかー、と。やっぱりまだまだ不思議なノスタルジーと味わいは控えめで、熟達していない。それでも小田イ輔のエッセンスみたいなものは確かにあった。「滑り台にて」これなんてミステリーでSFでホラーで、どっち?え、そっちが?みたいな話の持って行き方。とても小田イ輔だな、という好感を抱いた。「家族の風景」これまたSF。でももう少しかな。「飛ばす能力」いいなぁ彼らしい。「ラーメン屋」ホントに謎。「腹パンパン」私も笑っちゃったけど凄い話だな…。「回る遺伝子」いいね~怖いい(?)。 2017/10/27
葵
22
昔から怖い話は好きで、その延長のノリで購入。怪談本書くのにこういうアプローチもあるんですね。本当にヘンテコな話ばかり。あとがきに「正直、怪談にカテゴライズすべきなのかさえはっきりしない話もある。錯覚や思い過ごし。そんな言葉で一蹴しても構わないような話すらある」とありましたがその通り。ものの考えが飛躍しすぎな人、妄想で行動してしまう人たちの紹介としか思えない話も多い。でも「まだですかぁ」と「帰りの道で」は気味が悪かった。言動が支離滅裂な人は、見ていたいが、目があうのが恐ろしく、背筋が粟立つような感覚がある。2016/06/03
澤水月
20
前書きに代えた平山氏の文章、恐怖の新陳代謝やパートタイムの善と悪など短いながら見事な現代実話怪談論。黒木あるじ氏推し、FKB新シリーズで単著デビュー…どんなものかと読み始めいわく言いがたい奇怪さに引き込まれる。特に中盤からギアのかかり方半端なく虫、鼓動、心霊写真、墓の後ろで、何の餌?…ゾッとしたり狐につままれたり。最終話にして題名由来?「穴」は急に幾つか表現判り難く所々引っかかり急に何だ?と困惑するもラスト2行にそういうことなのかな…と切なさが押し寄せた。黒木氏の後書き読んでも著者の掴み所なさが尚更怖い2014/04/27