内容説明
偶然で終われない恐怖事件。オール書き下ろし、実話怪談。全25話収録。
目次
天使
約束
Vの字
別の人生
カスタード・パイ
シック!
憧憬
聞こえる
大漁旗
研修のとき〔ほか〕
著者等紹介
久田樹生[ヒサダタツキ]
1972年九州生まれ。超‐1/2006年大会に1位入賞し、冬の「超」怖い話執筆メンバーに参入する。2007年『「超」怖い話怪歴』(竹書房文庫刊)で単著デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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夢追人009
137
世の中の裏街道にはこんなにも悲惨な知られざる恐ろしい物語がゴロゴロと転がっているのだろうかとどうしても信じられず読んでいて本当に気が滅入ってしまいますねえ。『聞こえる』大学卒業後、新戸君は一年アルバイトした後に工場の工員に応募し晴れて正社員となる。工場の組み立て工程で同じ作業の肉体労働を繰り返す毎日に嫌気が差して来た頃に、あるラインの中年男性が工具を片手に大暴れする事件が起きる。その場所の人間が二人続けて辞めて遂に彼がそこを任されると機械音に悩まされ殺意に駆られてスパナとパイプを振り回し錯乱の後に辞める。2020/08/13
HANA
31
実話怪談集。最初の「天使」「約束」の一見いい話に見せかけて最後でとても嫌な気分にさせるという、初っ端から後味の悪い嫌さ漂う作りに満足。その後も「別の人生」「聞こえる」「公園のベンチ」と嫌な作品が続々と続いて、さらには「研修のとき」「放浪者」「藁を持った少年」といった何が起こっているのかわからないが、確かに何かが起こった、という自分が大好きなスタイルの話も混じり始めてさらに大満足。巻末の「月明」「眉月」でそれは頂点に達する。石も多いがこういう玉も多いので実話怪談読むのやめれないのだ。2013/05/18
ラルル
9
同性愛の話やお水の裏側等、怪談の怖さより怪談以外の部分の面白さ(興味深さ)が勝っていた印象です。しかしラスト2話はインパクト大2013/05/22
王天上
7
「公園のベンチ」と「放浪者」が印象に残っている。怪異よりも色々な職業の人の日常描写が面白かったような気もするな。同じように背景を描きこむ福澤徹三氏とかになると重過ぎて疲れるのですが、こちらはいい塩梅でした。2013/12/13
パブロ
7
最初は「あれっ、こんなもん?」と思ったけれど、読み進めるうちに「天使」での後味の悪さにのけぞって、「池の島」の理不尽さにイナバウアー。さらに、あとがきに挟まれた「月明」と「眉月」に至っては、もうちょっと手を加えたら、エロティシズムと夢の淡いを描いた幻想文学になりそうな勢い。黒木あるじや松村進吉の影に隠れて目立たない感じがあったけど、一作ごとにいろんな実験をしていて、実力をつけてきたな〜。2013/05/16