内容説明
15歳の少女・阿霞の父に愛人ができた。母は離婚を決意し、阿霞と一緒に実家の祖母の家に身を寄せる。母の嘆きをどこか他人事のように見つめる阿霞。だが、実家の祖母は離婚した母を「軽率だ」となじり、今すぐにでも家から追い出そうとする。やがて、周囲の勧めで母は再婚をするが、その結婚生活もあっという間に破綻。阿霞たちは再び実家に戻ることになるのだが、すでに実家には彼女たちの住む場所はなかった…。何事に対しても冷めた態度で他人事のように振る舞ってきた阿霞だったが、祖母の母への愛、そして母が自分のために父とよりを戻そうとしていることを知り、ようやく自分の本心に気づくのだが…。母と娘の心の交流と、上海に暮らす女子高校生の心情をみずみずしいタッチで描いた感動作。
著者等紹介
ポンシャオレン[ポンシャオレン]
1953年生まれ。78年に北京電影学院に、チャン・イーモウ、チェン・カイコーらと同期で入学。第六世代と呼ばれる中国映画界の中でも特に個人の心理や感情の世界に関心を持った作風で知られ、90年から95年、ニューヨーク大学映画研究科にも留学。また、日本の小川紳介監督との交流から、同監督の未完作『満山紅柿』を完成させるなど、多方面に活躍。社会派作家としても活躍し、2000年に上海で出版され、翌年香港版も出た『彼らの歳月』は評価の高いノンフィクション
樋口裕子[ヒグチユウコ]
主な著書・訳書に『懐旧的中国を歩く―幻の胡同・夢の洋館』(NHK出版)、『藍色夏恋』(角川書店)、『わが父 魯迅』(集英社 共訳)など
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