内容説明
恋人だった了のもとから逃げ出して四年―。直樹は住む所を転々とし、まるで逃亡者のような生活を送っていた。自分が幼い頃に犯してしまった罪を了にだけは知られたくない。ばれて軽蔑され、嫌われるのが怖い。そんな直樹の思いとは裏腹に残酷な運命は二人を再び引き合わせてしまう。四年前と少しも変わっていない了の甘く激しい求愛と、決して知られてはいけない罪の意識に、直樹は次第に追いつめられてゆく…。妖しく危ういセンシティブラブロマンス。
著者等紹介
夜光花[ヤコウハナ]
6月2日生まれ。埼玉県出身在住
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
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エンブレムT
56
分かち合えない痛みを抱えた、執着する者とされる者。側にいてもどこか遠く、かといって離れたところで消えない互いへの想い。これが夜光花さんのデビュー作ですか!面白かったです!!作者独特の仄暗い世界が既に内包されていることにも「おおぉ~!」となりました。・・・了に知られたくない直樹の過去の罪とは?をミステリー軸にして読むと肩透かし感もありますが、濃厚ラブをサポートするサスペンスとしては余りある吸引力です。あとがき漫画をみて、葛藤の一番多そうな『高校生編』あたりをもっと詳しく読みたかったなぁ~とは、思いましたが。2011/12/11
合縁奇縁
23
夜光花さんのデビュー作品。これを読んで、夜光花さんの作品が好きなったから。どこまでも執拗に追いかけて来る了がすごかった。攻めの執着度が半端ないけど、こういう攻めキャラは好き。最後の方で、了の地元まで車で追いかけて、やっぱ来たか!!と思った。了に言えない罪を背負い続けている直樹だけど、結局最後はバレちゃったし。2018/09/02
きなこ
15
電子版。夜光さんのデビュー作。段々追い詰められていく直樹の息苦しい気持ちと、何処までも追いかけてくる了の執着。故郷の山が開発されると分かったあたりから面白さMAXに。辛いことからすぐ逃げ出してしまう直樹が悪いんだけれど、秘密を抱えた10数年は辛かっただろう。2015/03/31
薫水
11
自分を追い詰め「逃げる」と言いながらも地に足の付いた生活を送ろうとする主人公・直樹は実は芯のあるタイプなのかなと思え、恋人?了のもとから姿を消しても、目を盗んで目的を遂げようと自分なりに頑張っちゃう姿が、直樹の心の闇(病み?)と相まってググッと読んでしまいました。むしろ、了を振り回して欲しかった一面もあったけど(笑)それを遮る了の執着がストレート過ぎてややウザかったです(単に好みではなかったとも言う)オチに行き着くまでが楽しみ、あとは…もう好きにして下さいorzエチはラヴァーズでした(笑)2012/02/27
柏葉
11
デビュー作から夜光花先生は夜光花先生だった。申し分のないエロ、サスペンス調のストーリーに起伏のある心理描写、平凡さを感じさせないキャラクター。絵師さんにも恵まれてたんだねぇ。数を重ねるうちに上手くなるのではなく、はじめから持ち味のある作家さんだったことを知った。2004年デビューなので、今年2011年で7年目か。これからも色んな作品を出していって欲しい作家です。2011/07/03