内容説明
人間がまだ謙虚で幸せだった頃、氷河に覆われた小さな村では成人の儀式の準備が進められていた。今日は村に住む三兄弟の末っ子キナイが、トーテム―その者を一生教え諭し、導いてくれる守護霊―を授けられる日なのだ。この日を心待ちにしていたキナイだったが、与えられたのは“愛の象徴”であるクマのトーテム。「何で僕がクマなんだ?クマは頭もよくないし、ただの鮭泥棒じゃないか」キナイは不満でいっぱいだ。しかし長兄シトゥカがクマに襲われて亡くなった時、キナイにとってクマはただの嫌悪から憎悪の対象へと変わっていった。次兄デナヒが止めるのも聞かず、キナイは槍を手に兄を襲ったクマを追い詰め復讐を果たす。と、その途端キナイの身体は宙に浮かび…気付いた時にはクマに変身していた!数奇な運命をたどる少年と子グマの切なくも美しい心の絆を描く、感動のファンタジー。