内容説明
本書は、ベストセラーの伝記とブロードウェイ屈指のミュージカルと２本の名作映画（「アンナとシャム王」「王様と私」）が生まれるきっかけをつくった、ひとりの女性の知られざる実話である。その内容に読者はかならずや驚かされることだろう。英国人の女性家庭教師とシャム国王との壮大なラブストーリーは、アカデミー賞女優ジョディ・フォスターと国際的なスーパースター、チョウ・ユンファの主演により、２０世紀フォックス配給「アンナと王様」のなかで、いま一度よみがえった。贅を凝らした美しい映像のこの新作と同様に、本書もまた、主人公たちの非凡な関係に含まれた陰影をあますところなくとらえている。セシリア・ホーランドは、史実とアンナ・レオノーウェンズの著書をもとに、シャム―今日のタイ―の政治的および文化的盛衰のみならず、アンナとシャムの王族との関係の裏に秘められた真の歴史をたくみな叙述で描き出す。全編マレーシアで撮影された「アンナと王様」は、映画史上最大のセットのひとつを呼び物にしている。それは２０エーカー以上の土地に建設された王宮だ。さらに、アンディ・テナント監督のもとには、華麗な衣裳の数々と数千人にのぼるエキストラと特別に訓練された動物たちとともに、２０ケ国以上から国際的なキャストとスタッフが結集した。そのようにして再現されたモンクット国王の世界を、本書はくまなく紹介する。
目次
大英帝国
自立した女性―ほんとうのアンナ・レオノーウェンズ
シャム―東南アジアの黄金の地
チャクリ王朝―タイのラーマ王たち
初期のタイ―中国人旅行者による本国への報告
モンクット―庶民性を持っていた国王
往復書簡―モンクットとエイブラハム・リンカーン
シャム後のアンナ―世界に羽ばたいた女性
仏教―理論でなく、実践にあり
チュラロンコーン―権力の座についた、アンナの優等性
タイの幻想的な神話の世界―ラマーキエン
モンクットとチュラロンコーンの遺産―２０世紀のタイ
