出版社内容情報
対称的な形式や意味、とらえ方の様相の差異を際だたせる装置として用意された20の対を通して新たな形の創造を準備。
内容説明
虚空に放たれた無数の芸術作品を言語によって捉えなおすこと。本書においてはそれが目指された。そしてひとつの「筆法」として、さまざまな「対概念」をキーワードにして、いろいろな時代の作家と作品を言語化するという方法を選んだ。言語化された作品たちは、個々の作品として佇立することはなく、より観念的で具体的である「造形」という思想へと集積されていった。簡単な問いほど回答に窮する。「形とは何か」「造るとは何か」、こうした問いに対するとりあえずの回答が本書には散りばめられてある。
目次
点・線
図・地
右・左
一・多
表・裏
部分・全体
垂直・水平
黒・白
青・赤
聖・俗〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
N島
8
古今東西の芸術作品を、20の異なる命題で語った芸術論。「20の対」というタイトルが示す「点」と「線」、「黒」と「白」、「生」と「死」といった、対称性を感じるペアを1対の概念として様々な芸術作品を読み解くというアクロバチックな内容となっています。優れた芸術作品に内包されたそれらの「対」が、普遍的なテーゼとして芸術史に脈々と受け継がれている…という本書の主張は分からなくもないのですが…やはり芸術作品の読み解きには一定以上の素養が必要と感じた次第。もし多面的な視覚を磨きたいなら、手に取って読む価値はあります。2021/01/04