内容説明
一九九四年一〇月に「新プラトン主義研究会」が結成され、事務局を金沢大学教育学部哲学研究室に置いた。当初の会員数は十余人であったが、現在では三五名を数える。なお本年一月から会の名称を新プラトン主義協会と改め、事務局も四大学に分散した。本書はこの「新プラトン主義協会」の会員の最近の研究論文を一冊にまとめたものである。
目次
序論―西洋哲学史への新プラトン主義の影響
新プラトン主義とは何か
プロティノスの発出論
プロティノスにおけるストア的概念―ロゴス概念を軸として
プロティノスにおける“τ´ολμα”の意味―根源からの発出と離反をめぐって
『カルデア神託』と神働術
永遠と時間―プロティノスからトマスまで
『マリウス・ウィクトリヌスのカンディドゥス宛書簡』の研究―序論・和訳・註解
キリスト教と哲学―アウグスティヌス『神国論』第八巻から第十巻までについての一考察
イスラム哲学における後期新プラトン主義の足跡―ファーラービーによるプラトンとアリストテレスの調和論〔ほか〕
感想・レビュー
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evifrei
3
論文集。古代から近世に至るまでの、新プラトン主義の思想ないし影響史を扱う。西洋哲学・西洋思想はギリシア哲学とキリスト教思想を根幹とするが、プラトン主義・新プラトン主義とキリスト教の相似が聖トマスにより既に指摘されていたという点が興味深い。プラトン主義・新プラトン主義の神はどちらも永遠と完成を象徴しており、この点はキリスト教の神と同一視できるが、ギリシア哲学では神により創造された神聖なものに迄礼拝を求める点で大きく異なるらしい。新プラトン主義の諸派の評価がキリスト教成立の前後かで異なるのもこの辺りの影響か。2019/10/11
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