内容説明
資本主義の成立と発展のなかで、過去の経済学者たちは女性や家族をどのように描いてきたのか。本書では、18世紀末から20世紀初頭の経済学者たちの思想をたどり、家事やケア労働の価値にも光をあてながら、これまで見過ごされてきたジェンダーの視点で経済思想を問い直す。
目次
経済学者の女性論に見るジェンダー思想史―近代社会と「ジェンダー秩序」
第1部 産業革命期における女性解放の主導者たち(商業社会と女性―ヒュームからトンプソンまで;イギリス産業革命期の結婚と女性―マルサスの所論;ベンサムにおける性的快楽主義と女性―同性愛行為・宗教批判・結婚制度;J.S.ミルの『経済学原理』における女性―男女の平等から労働者の境遇改善へ;ハリエット・マーティノゥの経済学―ヴィクトリア時代の異端派エコノミスト)
第2部 福祉国家黎明期におけるフェミニズム運動の展開(ミリセント・フォーセットの賃金論―賃金基金説から同一労働同一賃金の提唱へ;「性の貴族制」から条件付き競争へ―エッジワースにおける女性労働論の思想的変容;母性手当から家族手当へ―エレノア・ラスボーンによる貧困調査とその解釈を中心に;「革新主義時代」のフェミニズムと「家政学」―無償労働とジェンダー平等)
第3部 20世紀初頭の日本における女性平等思想(河田嗣郎の家族崩壊論の特徴―高田保馬による批評を手がかりに;永井享の婦人論―社会が求める女性像をめぐって;石橋湛山の消費論と女性―婦人経済会との関係を中心に)
著者等紹介
柳田芳伸[ヤナギタヨシノブ]
長崎県立大学名誉教授。経済学博士(京都大学)。専門は人口論、経済思想史(とくにマルサス)
原伸子[ハラノブコ]
法政大学名誉教授、大原社会問題研究所名誉研究員。専門は社会経済学、フェミニスト経済学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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