内容説明
いつのまにか、歴史の書き手と読み手との関係、すなわち社会における歴史学の位置は大きく変容している。そのことにどれだけの歴史学者が気づいているだろうか。本書は、だれもが歴史をもっと楽しむために歴史学をどう活かすかを、読者とともに考える入門書である。
目次
第1部 歴史学の見方と方法(歴史学―事実にこだわり、過去を通じて今を知る;歴史学の基本ルーティン―研究方法と論文の書き方;科学史―歴史的視野で科学の営みをとらえる;史学史―歴史学はいかに世界を認識してきたか?;海―海洋中心史観は陸地中心史観を超えるか?;政治・社会思想史―歴史の天使は未来をまなざす;歴史教育―教存で歴史を学ぶとは)
第2部 過去を通じて現在を知る(グローバリゼーション―つながり、移動し、変化する歴史;国民と民族―なぜ人はネイションに縛られるのか?;人種主義―複合的な差別のひとつとして考える;ジェンダー―規範から自己決定へいたる歴史;経済成長と格差―なぜ世界には豊かな国と貧しい国があるのか?;帝国主義―国際社会の歴史的淵源を考える;戦争―カテゴリーの暴力を超えて)
著者等紹介
前川一郎[マエカワイチロウ]
1969年生まれ。現在、立命館大学グローバル教養学部教授、博士(人文学)。専攻はイギリス帝国史、歴史認識問題(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとうしん
13
第Ⅰ部で論文の書き方、史学史など歴史学の基本的な事項を押さえ、第Ⅱ部でグローバリゼーション、ジェンダーなど個別のテーマについて議論するという構成。科学史の章でピタゴラスの定理などが本当に西洋で発明されたと評価してよいのかという問題を提示したり、帝国主義の章でウクライナ戦争から帝国主義時代の国際社会のあり方を見出したり、個別の議論には注目すべき点が多々ある。しかし特に第Ⅱ部で古代、中世への言及がほとんどないのが気になる。これでは古い時代を専攻する学生がそのテーマを他人事のように見なすのではないか?2023/08/10
numainu
0
評価B2024/06/21
hamu hanako
0
歴史、ではなく、歴史学。歴史の定義、研究セオリー、代表的な分野と現在地の実例などを幅広く初学者にもわかりやすくまとめた本。章ごとに著者が違うため温度感や書き方も違う。それだけ広い分野なんだな…。それぞれの章末に参考文献と推薦図書、あとがきにこの本に載りきれなかった分野が書かれていて誠実2023/08/02
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