内容説明
奈良の謎と魅力が盛りだくさん。モノ・人物・暮らし・時空間…コンパクトで読みやすい各編4頁構成。
目次
第1章 モノは語る(木簡と史書は語る―平城京大極殿建設の真実;葡萄の道―「ボ・ダウ」「ぶだう」「ブドウ」 ほか)
第2章 まなざしと表現(高松塚古墳のメディア学―発見当時の新聞記事を読む;大いなる『正倉院模造宝物』―吉田包春の美の世界 ほか)
第3章 横顔に映る奈良(宇多上皇、吉野宮滝へ―道真の「御幸記」を繙く;澤田四郎作を知っていますか―大和が生んだ知のネットワーカー ほか)
第4章 時空間を超えて(「国のまほろば」という言葉―その理由と時;景観に見る奈良の風―見えないものから奈良を見る ほか)
第5章 暮らしの今昔(女性の暮らしやすさから見た奈良―家事・育児負担とサポート・ネットワーク;あとの祭りにしないために―祭礼継承のためにいま何をすべきか ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アキ
91
GW中の奈良旅行に読んだが、食指が動かされる場所も見つからず、博物館や街の散策などブラつこうかな。ただ本書は奈良女子大学文学部なら学プロジェクト編だけあり、マニアックな奈良の奥深さを楽しめた。葡萄の起源、平城京の墨と膠の原料はウシ、日本書紀にラクダを献上された記録、奈良少年刑務所が廃庁となり重要文化財に指定、十津川とヒマラヤの地形の相似、城下町大和郡山の遊廓の名残、熊野街道の起点は下市、国のまほろばの起源は唐古・鍵の紀元前7世紀まで遡る、志賀直哉と私小説と奈良、藤原不比等と佐保陵など。いかにも大学っぽい。2022/05/04
PAO
14
「『大和古寺風物誌』は、どの出版社のどの版を読むのかによってまったく異なる読書体験を私たちにもたらすのだ」…この本を読んで『風物誌』に削除された二編があることを知ったのは大きな収穫で、私が読んでいた新潮文庫版には収録されていない『君臣相念』と『帰依と復活』をこれを機に初めて青空文庫で読みました。『君臣相念』は当時の知識人の天皇に対する思想的転換の限界を見る思いがするとともにこれを削除したことを保身と見るか反省と見るか悩むところです。少なくともそのまま収録されていたら随分違った読書体験となったことでしょう。2022/08/16
fantamys
2
必ずしも奈良のどこと言うものではないが、多方面からの学術的アプローチで古代から現代までの奈良を見つめるなかなか面白い本だった。2023/04/29