内容説明
政治・経済思想史の分野において卓越した研究者、ホントによるオックスフォード大学での講義録。ルソーとスミスの文明社会の把握と批判に見られる共通性を、ハチスン、マンデヴィル、モンテスキュー、ヒュームだけでなくホッブズ、ロックとの関係も掘り下げながら描き出す。特に生活様式の4段階論を応用した統治史の分析は独創的で新鮮である。
目次
第1章 商業的社交性―ジャン‐ジャック・ルソー問題
第2章 商業的社交性―アダム・スミス問題
第3章 統治の歴史―判事が先か、法が先か?
第4章 統治の歴史―共和国、不平等、革命?
第5章 経済学―市場、家政、見えざる手
第6章 経済学―ナショナリズム、競い合い、戦争
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
魚京童!
10
こういった考え方は暇が溢れたから出てきたのか、今は出てこないのは何故なのだろうか。間を埋める考え方しか見えてこない。大胆な改革がなくなった。暇がないからだろうか。暇を作るために機械化しているのに、機械にやらせるために作業が増えている。すべてにお金の価値があって、計測して、比較することができる。比較しない世界なんてなくなった。いつかは自分の世界を生きていて、それは井戸の中で世界を知らなかったけど、世界なんて知らなくてもよかったんじゃないかって思うようになった。世界は私には広すぎる。こんな世界なんていらない。2023/02/08
Mealla0v0
6
商業社会の出現という歴史的事件に対して新たな認識を示したのは、周知の通り、アダム・スミスであるが、その正反対に思えるジャン=ジャック・ルソーもまた商業社会についての理論家であった、というのが本書の基本的な主張である。経済学――より正確には政治経済学political economy――はそうした背景のもとに登場した。この点は、スコットランド歴史学派(ドイツ歴史学派に先行する段階説をスミスに見出す)や新マキャベリ派経済学などを加味して考えるべきものだろう。本書だけでは理解しにくい点も多々あるが解説が役立つ。2022/08/31