内容説明
人口十億人の半数を子どもが占めるアフリカ。彼らはどんな風景を眺め、どんなふうに家族や仲間と過ごし、遊び、学び、働いているのか。フィールドワーカーが現地で出会った子どもたちを主役に描き出す。アフリカの現在を学びたい人に最適の入門書。
目次
第1部 乾燥地に生きる(子どもの物質文化―ボツワナの狩猟採集民ブッシュマン;小さなイスラーム教徒たち―セネガルの農耕民ウォロフと遊牧民フルベ ほか)
第2部 サバンナに生きる(日常生活の中の学び―ケニアの牧畜民マサイ;大人顔負けの子ども組織―マリの農耕民マリンケ ほか)
第3部 熱帯雨林に生きる(森との向き合い方を学ぶ―カメルーンの狩猟採集民バカ(一)
学校と遊びの今昔―カメルーンの狩猟採集民バカ(二) ほか)
第4部 水辺に生きる(生物多様性の宝庫に生きる―マラウイの漁民、チェワ族とトンガ族;クルアーンを詠唱する子どもたち―マリの古都ジェンネで ほか)
第5部 都市に生きる(スラムで学び、遊び、働く―ケニアの首都ナイロビで;徒弟修行の若者たち―ガーナの産業都市クマシで ほか)
著者等紹介
清水貴夫[シミズタカオ]
広島大学教育開発国際協力研究センター研究員
亀井伸孝[カメイノブタカ]
愛知県立大学外国語学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Akihiro Nishio
18
アフリカを舞台に、子どもの生活や遊び、学校生活に焦点を当てた本。基本、田舎の子は、大人たちの仕事ぶりを見て、みごっこ遊びをしながら生活の糧を得る基本技術を得るのだが、不思議なことにガボンからの報告のみ、子どもたちによる主体的な学びの気配が感じられない。報告者が見つけられなかったのか、それともガボンの社会習慣と関係しているのか?自分も今度ガンビアに行った時、1章分くらいは書けるように、子どもについても観察したり、聞き取りをしておこう。2018/06/20
ckagami
1
どの章もひっくり返りそうなくらい面白い。冒頭からして、ブッシュマンの子どもの「所有物」を分類別に数字にする、という手法。田舎では遊びと生業への学びが一体になっている、都会は学校や宗教施設がおおきな役割を持つ。気候や環境によって、本当に多様な子どもたちの暮らし。各章の書き手は人類学・教育学・生態学と分野としてはさまざまな研究者で、それぞれ書きぶりに個性が出ている。クルアーン学校の厳しい生活と、マダガスカルの漁民の暮らし、森で生きる知恵を身につけるバカ(ピグミー)の子どもたちが印象的。2021/02/06
erie
1
地理的条件ごとに、様々な地域での子どもの生き様が複数人の文化人類学者によって記述されている。都市と農村でのクルアーン学校の比較、欧米的文化・価値観が入り込んでいく様子、などが興味深い。人間ドラマとしては大学院生時代のフィールドに、何年もあとになって再訪し、当時の子供達の現状を辿っていく章が印象深い。2018/02/23