出版社内容情報
シンジルト[シンジルト]
熊本大学文学部教授
奥野克巳[オクノカツミ]
立教大学異文化コミュニケーション学部教授
内容説明
動物殺し。それは野蛮でおぞましい行為なのか。人類は狩猟、屠畜、供犠など、さまざまな場面で動物を殺してきた。そこにはその社会特有の動物観が存在し、外部要因により変貌することもある。政治・論理・系譜を鍵に、絡まり合った糸を解きほぐす。
目次
序 肉と命をつなぐために
第1部 動物殺しの政治学(儀礼的屠殺とクセノフォビア―残酷と排除の文化政治学;子殺しと棄老―「動物殺し」としての殺人の解釈と理解について;殺しと男性性―南部エチオピアのボラナ・オロモにおける「殺害者文化複合」)
第2部 動物殺しの論理学(狩猟と儀礼―動物殺しに見るカナダ先住民カスカの動物観;毒蛇と獲物―先住民エンベラに見る動物殺しの布置;森と楽園―ブラガの森のプナンによる動物殺しの民族誌)
第3部 動物殺しの系譜学(供犠と供犠論―動物殺しの言説史;狩猟・漁撈教育と過去回帰―内陸アラスカにおける生業の再活性化運動;優しさと美味しさ―オイラト社会における屠畜の民族誌)
著者等紹介
シンジルト[シンジルト]
熊本大学文学部教授。専門は文化人類学
奥野克巳[オクノカツミ]
立教大学異文化コミュニケーション学部教授。専門は文化人類学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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志村真幸
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花渕馨也「儀礼的屠殺とクセノフォビア-残酷と排除の文化政治学」、池田光穂「子殺しと棄老-「動物殺し」としての殺人の解釈と理解について」など9篇が収録されている。 文化人類学者たちが集まって編まれた論文集である。フランスにおけるイスラーム/ユダヤの屠畜肉流通の問題から始まり、各地の老人遺棄/子殺しをテーマにしたり、アブラヤシ・プランテーションにおける狩猟の実態を明らかにしたり、アラスカでの伝統的狩猟の教育問題に足を踏み入れたり。それぞれ「動物殺し」という問題に果敢に切りこんでいる。2022/05/08