内容説明
世界各地で主張され始めている「先住民」アイデンティティは、リベラリズムの障害となるのだろうか?No!政治的アイデンティティという新しい概念は、アイデンティティと政治を再節合し、アイデンティティの持つ力を再考させる。それは、21世紀―ポスト・グローバル化時代に、これまで排除されてきた人々を政治参加へと導き、民主化を推し進める力を秘めているのである。
目次
二一世紀における政治的アイデンティティの概念化
第1部 政治的アイデンティティの系譜(政治的アイデンティティとは何か?―パワーの視点からアイデンティティを分析する批判理論に向けて;キベラ・レッスン―ケニアにおける土着性とヌビのアイデンティティ;国家のなかで民族を生きる―二〇〇七年ケニア総選挙後の牧畜社会におけるアイデンティティの出現と消滅)
第2部 文化的アイデンティティと政治的アイデンティティの差異(博物館と政治的アイデンティティ―北海道の地方博物館を例に;ジェンダー・エスニシティ・宗教との交渉―北米アジア系女性の複合的アイデンティティ)
第3部 先住民という政治的アイデンティティの行方(国際法から「先住の民、先住民」への呼びかけ;カラハリ先住民の静かな戦い―南部アフリカの先住民運動と政治的アイデンティティ;ナシオン・プレペチャの試み―メキシコ・ミチョアカン州における先住民地域自治の模索と挫折)
第4部 政治的アイデンティティの外縁(ジェノサイドと排除―内戦後のルワンダと国際社会;国家と民族に背いて―アイデンティティの生き苦しさ、韓国を去りゆく人びと)
著者等紹介
太田好信[オオタヨシノブ]
1954年、北海道生まれ。1987年ミシガン大学大学院人類学博士課程修了。Ph.D.(人類学)。九州大学大学院比較社会文化研究院教授。専門は文化人類学。主な調査地は沖縄、米国ハワイ州と中米グアテマラ共和国(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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