内容説明
ドイツは日本のモデルとなりうるのか。ヴァイツゼッカーの演説から20年、今年は広大なベルリンの慰霊碑が完成し、多くの日本人が彼我の差を痛感したことだろう。だが、それがドイツの全貌ではない。「ナチズムの清算」の旗の下に、その軍隊は他国へ展開し、銃は再び人間に向かって構えられている。ドイツの「過去への反省」の先にいったい何があるのか、一面的な賞賛では思わぬ陥穽に陥るのではないか、欧州と米国の、古いデタントと新しいミリタリズムの外交政策を理解する鍵を提供する。
目次
選挙戦におけるシュレーダーの「ドイツの道」
ドイツ特有の道と歴史家たちの神話
ボン共和国の興亡
再統一―隣国への力試し
ベルリン共和国の社会民主党
一九九一年湾岸戦争と「権力忘却」の終焉
新しいドイツによる外交上の力の誇示
クリントン政権の路線変更
ベルリン・ワシントン間のライバル関係の増大
ペルシャ湾岸での利害の一致・不一致
ドイツの対米輸出依存の増大
経済崩壊からの逃避としての戦争
米国の砲火を浴びた幻のEU軍
ユーラシアというチェス盤での新たな勝負
ゴーリストと大西洋主義者の権力闘争
世界市場での攻勢ではなく、ヨーロッパの平和を
著者等紹介
木戸衛一[キドエイイチ]
1957年生まれ。1981年東京外国語大学ドイツ語学科卒業。1988年一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程単位取得退学。一橋大学社会学部助手、大阪大学教養学部講師を経て、1994年大阪大学大学院国際公共政策研究科助教授。2000~2001年ライプツィヒ大学社会科学哲学部政治学科客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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