内容説明
権力構造の変容とエリート層の再編過程から浮かび上がる「平穏なる共和国」ヴェネツィアの実像。貴族階級における寡頭政や台頭する官僚層の考察を通じて、従来の「静態的」なヴェネツィア社会像の転換を迫り、より実体的な社会のあり方を提示する。
目次
序 近世初頭のヴェネツィア―政治・経済・社会
1 投票に基づく「柔らかな寡頭政」―一五一六‐二六年におけるサヴィオ・グランデの選出をめぐって(政治手続きとしての「投票」;ヴェネツィアの政治構造と高位官職の選出 ほか)
2 一五八二‐三年の十人委員会改革(ヴェネツィア外交の転換と十人委員会改革;十人委員会と寡頭政;十人委員会改革の経過;高位官職就任者の分析;「柔らかな寡頭金」の特質)
3 書記局官僚層の形成(「秘書官」層の台頭;ヴェネツィアの市民身分と書記局官僚層 ほか)
4 「鉄を金に変える卑しき鍛冶屋のごとく」―貴族階級における新家系の成立(ヴェネツィア共和国最後のドージェ;カンディア戦争と新貴族家系の成立 ほか)
著者等紹介
藤内哲也[トウナイテツヤ]
1970年福岡県生まれ。1999年京都大学大学院文学研究科博士後期課程学修退学。京都大学博士(文学)。鹿児島大学法文学部助教授
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