感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新田新一
12
作者は葬儀屋を営んでおられるそうで、絶えず人の死に接することの哀しみや諦観が、詩の中で表現されます。「死の砦」では、夢の中に死者が多く出てくることが語られて、作者の母の娘を守ろうとした生き方がさりげなく書かれています。娘は夢の中でそのことに気づき、悲しみと諦めが入り混じった感情を持ちます。最後の「若潮まいり」という詩が一番心に残りました。昔から続いている日本の海に対する素朴な信仰を描きながら、結末で海の向こうの戦争が終わることが祈られます。案外のこのような祈りが、この世界を支えているのかもしれません。2023/12/17
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- 和書
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