感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Moeko Matsuda
2
詩誌「みなみのかぜ」で読んで、一気に引き込まれてしまったのがこちらの著者の作品だった。この詩集は、彼女が子どもの頃に亡くなったお父様への想いを、綴る…というより吐き出した作品だ。厳格な父、それに追従する母。優秀であることを求め続けられ、それに応えようと必死に背伸びをする痛々しい少女の姿。表題作の「よるのはんせいかい」は、あまりに辛くて胸が痛くなる。もはや思い出の中にしかいない父親は、時々不器用に彼女に優しい。記憶は丸くなる。だから、生きていく彼女の中の「お父さん」が、もっと優しくなってくれたらいいと願う。2021/12/01