内容説明
「あゝ、自分のやうなものでも、どうかして生きたい。」(『春』)。この言葉に人生と芸術に対する一切を感得した著者の労作。合本『藤村詩集』を中心に据えて、その詩精神の軌跡をたずね、明治時代にあって、その営みがいかなる意味をもち得たかを検証する詩人藤村論である。
目次
『若菜集』の世界
合本『藤村詩集』の「序」について
草枕
逃げ水
六人の処女
『一葉舟』試論
『夏草』―「農夫」の位置をめぐって
『ある女の生涯』―性の絶望と悲惨
『若菜集』への旅
正宗白鳥の藤村観
藤村遺跡見学記―佐久・小諸紀行