目次
1 TPP参加は、貿易立国・日本の国益か?
2 日本のTPP参加はアメリカが敷いたレールに乗っただけ
3 TPPに賭けるアメリカの事情
4 自動車、保険、牛肉―オバマ大統領の「三つの注視」発言のウラ
5 米国産牛肉の輸入制限撤廃問題
6 TPP協定に参加した場合の日本への影響
7 TPP参加に活路を求める財界戦略
8 貿易立国から投資立国へ―TPP積極推進の背景
9 「投資立国」化、産業空洞化が景気の回復を遅らせる
10 TPP参加で日本農業はどうなるか
11 「歴史的円高」の中での日本の選択
むすび―ナショナリズム(国民主義)が日本を救う
著者等紹介
三島徳三[ミシマトクゾウ]
1943年東京生まれ。1966年北海道大学農学部卒業、1968年大学院修士課程修了。酪農学園大学講師、北海道大学教授、名寄市立大学教授・副学長を歴任し、現在は北海道大学名誉教授。農学博士。日本農業経済学会・日本農業市場学会各名誉会員。2010年度新渡戸・南原賞受賞。農業関係ではラ・フォルケッタ農園主(江別市)、NPO法人農業応援団あぐりびれっじ理事長、北海道合鴨水稲会名誉顧問(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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coolflat
1
前半はTPPにおける米国の狙いと背景。東アジアで主導権を強める中国に楔を打ち、中国を切り離すと共にアジアで米国の主導権を構築する。実現のためには日本の協力が必要で、日米同盟を強化すると共に、TPPに日本を巻き込みFTAAPを目指す。後半はTPPにおける日本の狙いと背景。TPPへの参加を求める日本(財界)の狙いは直接投資を促進し、海外で事業展開を行う。つまり貿易立国から投資立国へと舵を切ったということ。そして日本と米国の多国籍企業が手を結び、環太平洋という広大な地域を自由投資圏にしたい。TPPはその第一歩。2013/12/01
Kei Yamaoka
1
文字通り日本を「投資立国」とする観点から見たTPP。円高→生産拠点の海外移転→TPP積極推進→投資立国化は、結局は日本国内の雇用環境の悪化を招くことになる。「貿易立国」としてTPPに参加する、という野田前首相が述べた前提はもう崩れさっているようだ。2013/05/17
kanamycinbot
0
ブランドで守られる米はともかく加工できる品は安い輸入品にすぐやられる。日本が儲けられそうな政府調達の分野でも下請け先が外国になり国内中小企業には打撃だし、海外での儲けは国内の金回りには繋がらず、非正規雇用が増え政府も所得補償制度が維持できなくなる。TPPはアメリカが輸出を増やすために日本に迫ってくるもの。大まかな全体像を掴むには分かりやすくて良かった。あくまでTPPに関する内容で、ASEAN中韓との貿易についてはそれほど触れていないので別の本にも当たりたい。2014/02/05