内容説明
第1部では、農業近代化に伴って発現するようになった新たな農民の健康破壊、すなわち、農業機械化の下での労働密度・精神的神経的負担の高まりによる新たな形態の疲労の蓄積や死亡を含む農作業事故の続発、施設園芸での気候不適応症(ハウス病)の蔓延、農薬中毒の発生などの状況を指摘した論文、また、農作業安全対策を取り上げた論文など、五点の論文を収録した。第2部では、高度経済成長期にドラスティックに展開した「地域開発」、農村の都市化・工業化で急激に進行した農業・農村破壊の様相、同時に農業「近代化」で拡がった畜産公害問題などを取り上げた論文、また、農村工業化で主に農家主婦労働力を吸収した農村工場や納屋工場における就労実態を取り上げた論文、さらに、そうした状況の下での農村整備の課題を提起した論文など、五点の論文を収録した。第4部では、臨調「行革」問題を取り上げた社会政策学会・第六六回大会(一九八三年五月)の共通論題で報告した内容をまとめた論文、また、九〇年代に入ってから発表した都市農村交流、グリーン・ツーリズム、地域内発型アグリビジネス、環境保全型農業の取り組みなど、農村の地域活性化、農村地域問題に関連する五点の論文を収録した。
目次
第1部 農業「近代化」と農民(農業「近代化」と農業労働―その労働科学的検討;農業における労働災害―その現況・安全対策の課題;農作業の安全規制;農業の変貌と高齢労働;農民層分解と農村住民)
第2部 農村の都市化・工業化(大都市近郊地域における農業・農民の諸相;畜産公害の現状と問題点;農村工業化と婦人労働;農村納屋工場の労働実態;日本における農業の構造的変化と農村整備の課題)