内容説明
本書は、社会的ジレンマを新しい視点から捉え直した一連の研究をまとめたものである。社会的ジレンマ研究は個人と個人、個人と社会の間には避けることのできない利害の対立が存在するのだということを前提とした上で、どうしたら皆にとって「少しでもうまくいく」のかを考えてきたと言ってもいいだろう。本書の立場は、少し違っている。人間は、みじめな戦争状態から抜け出す手だて―たとえば他人に対して協力したり他人を信頼するという行動特性―を、自分たちで生みだしてきたのではないか、というのが本書の基本的な主張である。本書ではそれが、人々が生み出そうとしたために生み出されたのではなく、それが生み出されるような構造が、社会関係の中に存在しているために生み出されたのだと考える。
目次
第1章 社会的ジレンマ
第2章 選択的プレイ・パラダイム
第3章 選択的プレイ状況における協力行動の達成
第4章 OUT‐FOR‐TATの限界と信頼の役割
第5章 結論



