内容説明
大理石でもブロンズでも古木でもなく、いちばん手に入れやすい素材で、いちばん優しく、親しく、愉快な彫刻を作りつづけ、「彫刻家」とは一生呼ばれずに終わった反骨のコンクリ仏師、祥雲のコンクリ像758体掲載!
目次
第1部 図録篇―浅野祥雲大図鑑(浅野祥雲“三大聖地”徹底ガイド;新発見 未紹介 初掲載;まとめて見られる密集スポット三番勝負;時系列と証言でたどるコンクリひとすじ54年)
第2部 本文篇―浅野祥雲研究と修復活動(浅野祥雲研究序説―浅野祥雲は本当に“B級”なのか?;作家・アーティストは浅野祥雲をどう見たか?)
第3部 資料篇―浅野祥雲を知る/調べる/訪ねる
著者等紹介
大竹敏之[オオタケトシユキ]
昭和40年愛知県生まれ。雑誌編集者を経てフリーライターに。名古屋ネタライターを自称し、雑誌、新聞、Webなどに名古屋情報を発信(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
yoneyama
10
名古屋の無名な名物、コンクリート彫刻作家の作品群のほぼ唯一の研究者が著者。これだけの彫刻を作って置きながら、芸術と評価されてこなかった。作者はそもそも芸術ではなく実用品、公園の遊具のようなものとみなしていたかもしれない。でも実用品であることと芸術は矛盾しない。現場でその真中に立って囲まれて感じるその場の感覚は強い。遊具とするには表情がリアルなのだ。上海事変で戦死した名古屋第6連隊の若い兵たちのリアルな表情。侵略の後ろめたさから今は市内の陸軍墓地ではなく知多半島にひっそりある。これが一番ぐっと来た。2022/05/26
たらこりっぷ
9
力があります。圧倒されます。思わずひれ伏します。笑えるんだけれど、ここまで積み上げられるともう笑えません。内容について語ることはやめておきます。いきなりネットで購入する前に、タイトルと著者をチェックして書店でご覧ください。私は幼いころ浅野祥雲の作品に実際に触れたことがありましたが、ここまで壮大な世界が広がっているとは知りませんでした。久しぶりに見に行ってみようと、心に誓ったのでありました。2015/02/15
Mentyu
5
昭和期に名古屋市周辺はじめ東海地方に多くのコンクリート像を制作した浅野祥雲の作品解説。著者は作品の修復運動に携わる人物である。祥雲のコンクリ像は長く人々から忘れらていた存在であったが、B級スポットとして取りあげられることで脚光を浴びたという。一方、B級スポットとしての再評価であったために、美術作品として扱うべきなのか、修復を行うべきなのかといった点でファンの間でも議論があったらしい。名古屋在住の自分にとってはよく知った作品が多いので、製作の背景と再評価の流れを綺麗にまとめている本書はありがたかった。2018/09/21
nerozou666
4
東海地方のサブカルを語る上で避けることが難しい偉人、浅野祥雲についての研究書であり写真集。様々なスポットで散見、あるいは特定のスポットで膨大な数を見ることができる特徴的なコンクリート仏像。それらの製作者である仏師浅野祥雲について熱心に研究されている、恐らくは唯一の浅野祥雲研究家である大竹敏之氏の本です。宗教と民俗を分けて語ることが無意味なようにサブカルと宗教も分けて語ることができません。浅野祥雲の独創的なコンクリート像はメインストリームである芸術とはまた違う、まさにサブカルチャーといえるのかもしれません。2020/08/09
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