内容説明
調律法で知られるヴェルクマイスター最後の著作。ルター派神学、ピュタゴラス主義、数比によるハルモニア論、数象徴…バッハをはじめ、バロック期ドイツ中北部ルター派地域のオルガニストが共有していた音楽観・世界観をかいま見せる貴重な文献。訳者による詳細な注・解説つき。
目次
音楽的数比の分割について本作へのひとつの準備。
天国への道のりは調和的であることの数学と聖書による証明。
いかに人間の肉体と魂は調和的に創造されたか。ならびに星辰の作用について。
なぜ人間は音楽を喜ぶのか。また、作曲家や音楽家はどこから生まれたのか。
神の似姿たる人間は音楽を通じて創造主を讃美すべきであること、聖書にでてくる建物や時代もまた霊的音楽の調和的奇蹟であることについて。
権威者たちが止めさせられるであろう音楽の濫用について。
人々がいかなる性向を持ち、音楽を好んでいるか。また、異教徒たちは音楽に関していかに遠いところにいるか。
初期キリスト教徒たちの音楽とその変化について。
ソルミゼーションと線譜から生じる大変な難点。
線譜にはそれ自体に大きな難点があることの証明。
いかにすべてが十二音だけで演奏あるいは歌唱し得るかという証明。
五線譜は十二音名以上に多数の変異を持つことのさらなる証明。
音律はどのように吟味され得るのか。そして、ドイツ式タブラチュア譜について。
クロマティックな五線譜は調律した鍵盤にいかに適用されるか。
コラール唱の無秩序について。
古いオルガンの単純さ。
旋法はどのように区別されるか。
調和数の本性と属性について。
数のもつ隠された意味について。
調和数がそれ自体で分割された場合の属性について。
調和数の分割について。
音楽に不協和をもたらす数の性質について。
調和基礎数はいかにうまく調律された音律へ変容させられるのか。また、それらの隠された意味について。
不適切な音律と誤ったキリスト教の比較。
音律はいかに完全あるいは不完全であるか。音律はいかにキリスト教と比較され得るか。
音楽的数比を使った主の祈り。そして結語。
著者等紹介
ヴェルクマイスター,アンドレアス[ヴェルクマイスター,アンドレアス] [Werckmeister,Andreas]
1645‐1706。オルガン奏者・作曲家・音楽理論家。鍵盤楽器の古典調律法の考案者として知られる(特に「ヴェルクマイスター3」)。現在のドイツ ザクセン=アンハルト州に生まれ、生涯その地域から出ることなく、キリスト教の敬虔な信仰に基づく音楽理論を発信し続けた。J.S.バッハ、J.G.ヴァルター、ブットシュテット、マッテゾンらがヴェルクマイスターの調律法や作曲技法に関する著作に触れている
村上曜[ムラカミヨウ]
東京都出身。都立西高等学校卒、京都大学工学部物理工学科卒、京都大学大学院工学研究科修士課程修了、グラスゴー大学Ph.D.課程修了。Ph.D.(航空宇宙工学)。放送大学修士課程修了(美学)。英国王立音楽検定(ABRSM)ディプロマ取得(チェロ演奏)。翻訳家、チェリスト、著述家。『チェロの原理あるいは応用』(Kindleダイレクト・パブリッシング)他。「すべての文化は精神史である」との立場から、西洋音楽の本来の在り方であった〈思想としての音楽〉の伝統に立ち返るべく、哲学的な演奏理念の実践と美学的な演奏、音楽理論の歴史的・思想的背景を探求している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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