感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
56
20歳の頃の、行方不明になった兄の青年時代を反復する旅。それを回想する25年後の「僕」が語るのは、自分が反復していた兄の、父の、母の夢のこと。「追放」されて山を越えた先祖のこと。旅で「自己」を発見した歓喜に満ちた瞬間のこと。そしてそれらは、物語ることにより何度でも「反復(とりもど)したり更新したり」できるのだということ。かつての自分を、家族を、先祖たちを「言葉の光に縁ど」ることで、「不在の者たち」やその夢を呼び返すことができるのだ。物語よ、夢や体験に「場所を与え」るものよ、お前は何と力に満ちていることか。2019/12/13
Mark.jr
3
著者の自伝的色が濃い作品です。日本の私小説や内向の世代の作品と共振する、自身の内面や過去の体験をひたすら掘り下げて行く内容ですが。タイトルに象徴されるように、語り口は直線ではなく、重層的で捉え所がないです。そこに、著者の小説家としての美学のようなものが見えます。2020/12/30
ロータス
3
非常に巧く練られた構成と語りの手法もそうだが、物語全体を貫く「孤独」が胸を震わせた。この「孤独」は読書家なら誰もが味わったであろう普遍的な感情だと思うが、それを様々なエピソードにより作者固有のものとして表現しているところが素晴らしい、熟練の書き手によるメタフィクションだった。2019/12/22
こじこ
1
最高‼️久しぶりにグッときた読書体験。2023/09/02
STO
0
第二部2022/01/11