内容説明
第一次世界大戦前後のヨーロッパ世界を描いたカフカの文学が、第一次世界大戦後ではなく、それから30年後、第二次大戦後のドイツ・ヨーロッパで爆発的に読まれ、その傾向は全世界に拡大した。そしてそれは二十世紀の後半にいたるまで継続し、さらに二十一世紀に向けて巨大な波となって押し寄せていく。そして、新たなるカフカ文学の地平を生みだしてゆくことは確実である。このことは、カフカの文学が常に時代の流れを先取していたことを意味する。そのことはまた、カフカ文学のなかから、無限の泉がこんこんと湧き出ていることの証明であり、深い絶望の淵にありながらも、ユートピアを求める強固な意志がカフカ文学に存在することの証でもある。本書では、そのような無限の泉に接して、他の作家たちがどのように反応したかを検証し、またそれら作家たちとカフカとの同質性と異質性とを究めようとするささやかな試みである。
目次
第1部 カフカと同年代の作家・批評家達(カフカとリルケ―沈黙の詩学;カフカとローベルト・ヴァルザー―正気の恐怖と狂気の不安;カフカとブロート―プラハ・サークルの原細胞;カフカとヴェルフェル―ある離心軌道 ほか)
第2部 第二次世界大戦後活躍した作家達(カフカとノサック―モノローグ的語りを巡って;カフカとフリッシュ―偶像を刻むこと;カフカとアイヒンガー―限界状況の彼方に;カフカとデュレンマット―迷宮の構図 ほか)
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