内容説明
憂愁と甘美さとが名状しがたく融合したふしぎな音楽の余韻。愛に結ばれそうで、結ばれない男女の心のたゆたいを、移りゆく季節の風物に託してうたう抒情の精粋。20世紀ドイツ最高の詩業。
目次
葡萄摘みののちに
雪のなかの巡礼
夏の勝利
表題と献辞
悲しみの舞踏
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
100
同性愛者だった独の詩人ゲオルゲが、生涯でただ1回女性を愛した時に書かれた詩集。恋愛の高揚感が苦い幻滅に変わっていく過程が、抒情的に描かれている。息苦しくなるほどに形式が整い、音楽的で美しいイメージを持った詩であることは、翻訳を通しても伝わってきた。結局その女性とは結ばれずに、別れたことはある意味で残念だったと思う。同性愛者であることは特に悪いとは思わないが、異性と真の意味で出会うことによって、ゲオルゲの詩はもっと開かれたものになる可能性があったのではと感じた。2014/07/01