内容説明
言語を語る主体とは?無意識と言語との関係は?記号表現とレトリックとの関係は?記号表現はどのように受容されるのか?「あらゆるテクストは引用のモザイク」という立場から、今日の記号表現の生産と消費の問題がここに抉り出される。
目次
1 生産と消費の両極(〈語る主体〉とは何か;無意識の〈語る主体〉;消費としての読むことの構造;受容美学の新たな考察)
2 引用の想像力(現代言語論のひとつの方向;生産と消費としての引用;シーニュとしてのレトリック―芸術のカタログ化の理論的前提;引用のレトリックと記憶)
3 差異を産む機械(プルーストの文学機械;ルーセルの言語機械;表層の世界;カフカの表現機械;『リゾーム』を読む)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gorgeanalogue
11
雑事多く読書停滞。引用について整然と語った本ではなく、雑誌原稿の寄せ集めで、読書録みたいな感じ。クリステヴァ、フーコー、ドゥルーズ&ガタリをちりばめているだけで新鮮な発見はないが、80年代のポストモダンに沿って引用の問題を整理するには役に立つかもしれない。受容美学との関連についての論文は面白かった。1991年刊の新装版の前書きで著者は「引用の磁場」が80年代にはあったのだ~と回顧していて、脱力する。おざなりな口絵があるだけで事例も少ない。映画への言及もなし。2023/04/14