内容説明
昭和61年の歴史のなかで、不倫という言葉の意味は変わらずとも、その言葉の持つイメージや、人びとに与えた衝撃度は大きく変わってきたはずである。ここに取り上げた13話に絞ったのは、それがとりもなおさず、その時代の匂いなり特徴なりを顕著に示していたからである。言いかえれば、時代の落とし子として生ぜざるを得なかった、ぎりぎりの選択、必然性とでもいったらいいだろうか。
目次
生まれたからには燃えるような愛を(藤原義江;藤原あき)
霊魂が消え、私は冷却していく(東郷青児;西崎盈子)
あはれ秋風よ、情あらば伝へてよ(谷崎潤一郎;谷崎千代;佐藤春夫)
世間よ、石もて私を打て(細川ちか子;藤山愛一郎)
火のように燃える恋は一生に1度だけ(岡田嘉子;杉本良吉)
反逆でも何でもない、いってみれば男と女(島津昭子;野口晴哉)
老いらくの恋は怖るる何ものもなし(川田順;川田俊子)
私はあなたの魂と肉体の中で生きている(松谷天光光;園田直)
皇族の仮面を捨てて普通の女になりたかった(華頂華子;華頂博信)
私たちの恋愛は“甘美な夢”と“悪夢”との連続だった(金子光晴;大川内令子)
エロチックな女性は天使であり娼婦である(池田満寿夫;佐藤陽子)
私を斬るなら、もっと上手に斬ってよ(藤間紫;藤間勘十郎)
人を好きになる感情があったことがうれしい(井上ひさし;井上好子)