内容説明
亭主に命じられ身をもち崩す、料亭の若女将の苦衷。男女の相剋に体を張る、女の意地を描いて凄惨。書下ろし長篇。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
山内正
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大丈夫かおふう 疲れた身体に夫が声を掛ける 粥や田楽に茹で卵と用意して やっと生気が取り戻せた 義父と妹を殺した男がこんな事を してくれるだろうか 昨日王子村へ歩き母と川岸で出合い 実家富精へ寄らず船で帰った 朝宗右衛門を送り出し着物を着替え 板場にでた 真板が昨日の花見の話をしだす 戻る後ろから抱いてきた 真板の機嫌を取ると部屋へ 子守女が昨日旦那さんがここで 煙草を吸いながらしくしく泣いていましたと告げ口を言う 赤ん坊を綿入れでくるみ外へ出た 昨夜の船頭に船賃を渡した 実家を不運にした夫を庇おうと2021/08/18
山内正
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花見に一日休みたいと女房おふうは 亭主に言う 茶屋は客の取合いだと 弱い者は潰れる勝ちたいと言う 船で飛鳥山へ子を背負い船に乗る 里にどうしても行きたいと 船を降り川向うに女の姿が 張りの失せた母が近づき富精は無くなったからね他人様の物になった お父っつぁんは野道で頭を砕かれ死んだ お前の宗右衛門が茶屋の贅沢な改築にと来ていたよ 聞いてない一言も亭主から 売ったのは亭主に違い無い おはなは殺され川に捨てられたか知れないと母は言う2021/05/13
山内正
2
夜夫が出掛け上框に佐吉とおとみが腰を掛ける そこの板場にいながら話も出来ないもどかしさ おふうが思う 庭でわざと子守唄を お袋と同じ歌声で吃驚してと佐吉が近づく 庭の木の上から源太って下っ端が 降りた 話は聞いた 思わず佐吉と内緒の話の手筈を頼んでみる おふうは帯を結んだりする度に 鏡を見るようになった 佐吉は旦那に殺されると嫌がる 家に居る婆さんに気づかれたらと 夫は出世がしたいと母に言った事が 金持ち土地持ちを見返してやりたいと言い おふうは武家の血を引く女 祖母は武家の子を産んだ事があり その血が 2020/11/01
山内正
2
白い腕で尻端折しておとみは打ち水をする 生垣の向こうの事は何も知らないと言う 真板の機嫌とり、金の勘定、出入り職の指図までやらす 先代からの女中 任せられると おふうは三人の娘を産んだだけの 身に気後れをし五年を暮した 客の来る前と庭を子を抱き歩いた 真板が客と勘違いし準備を初めた 納戸から老婆の呟きが 三度の食べ物をあげればいいと 真板が旦那に新しい店にと話をと来た おとみの声に返事をする 息が合ってる仲が良いと分る 酒をと真板におふうが おとみがいたと あいつは男無しでいられないのさ 二人に店を任すさ2020/10/07