内容説明
「谷崎潤一郎をめぐる人々と着物 事実も小説も奇なり」展、図録兼用書籍。
目次
第1章 初
第2章 千代
第3章 佐藤春夫
特集 日本の探偵小説事始め
第4章 せい
第5章 松子
特集 谷崎と着物
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mii22.
50
谷崎と着物に関する本は2冊目。展覧会の図録兼書籍なので収録写真も大きく迫力がある。『神童』から露芝と舞い飛ぶ蛍の単衣に野晒し髑髏の帯、髑髏と墓地の半襟、蛇の帯留めを合わせた恐ろしくも美しいコーディネイトは圧巻。『蓼食う虫』からはファンタジーの世界を思わせる西洋更紗模様の訪問着と帯にアールデコテイストの小物類を合わせたコーディネイトはウィリアム・モリスの影響を思わせるもので好みのコーデ。その他も今観ても斬新、大胆でこだわりのある和装コーデばかり。読み物も谷崎を巡る女性や佐藤春夫とのエピソードが興味深い。2022/07/26
蒼
29
日本を代表する文豪谷崎潤一郎の作品に登場する女性をイメージした着物の数々、その大胆な色模様に度肝を抜かれつつため息が止まらない。谷崎作品は何一つ読んだことはないが、現代の倫理観からの隔離は凄まじい。なのに離婚した妻の親族達に慕われていたというのだから、その魅力はかなりのものだったのだろう。いや谷崎の人物評ではない、着物だ。大正昭和初期の着物はサイケデリックで、ある意味日本の伝統をぶち壊そうとした製作者の意地のようなものを感じてしまった。裏表紙にもなっている青地に黄色の雷模様の着物に潔さを感じた。2021/12/18
方々亭
7
弥生美術館で、今年の1月までこのテーマで展覧会をやっていたとのこと。知っていれば観に行きたかった。。。だから情弱は困る。本書は谷崎潤一郎の作品のモチーフとなった女性たちとの関係を解説しつつ、ゆかりの品々を豊富な写真で掲載している。それぞれの女性たちのイメージをアンティークの着物で表現してるのも面白い。谷崎って若い頃もおんなじ丸い顔してて可愛いんだよな。2022/04/22
Noelle
7
弥生美術館で開催された「谷崎をめぐる人々と着物」展の図録になる本書。こちらの美術館では以前にも谷崎関係の着物展をやってくださって、その時は足を運んだのだが今回は断念。小説とそのモデルとなった実在の女性たち、そしてその描写と性格からの、らしい着物のコーディネート。ファム・ファタル風、エキゾチックなモダニズム、大正浪漫からアヴァンギャルド、そして圧巻は細雪の世界 戦前の上流階級のはんなり上方風まで、大正から昭和への着物の流行り物が全部詰まっている。その全てが圧倒的な存在感、煌めく色彩の洪水。堪能しました◎2022/02/08
ちー
2
谷崎作品の登場人物をイメージしたアンティークの着物が素晴らしい。うっとりと何時間でも眺めていられる。特に細雪の四姉妹の着物の美しさは格別。痴人の愛、ナオミのアヴァンギャルドでサイケな着物の可愛さに釘付け。 谷崎の私生活を彩った女性達と谷崎文学は切っても切れない関係でまさに一蓮托生、運命共同体であった。当時の挿絵もふんだんに掲載されており谷崎ファンならたまらない一冊。2025/05/26
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