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目次
Prologue ワイエスという画家(父の教え;水彩画家として成功を収める ほか)
1 ペンシルヴェニア―深く大地に根ざして(ペンシルヴェニアの風景;粉挽き(水車)小屋 ほか)
2 メイン―厳しい自然とつましく生きる人びと(オルソン家―出会い;アルヴァロ ほか)
3 内的世界の広がり―ワイエス家三代の伝統(奇妙で不思議な絵;眠り、あるいは死 ほか)
Epilogue 晩年
著者等紹介
高橋秀治[タカハシシュウジ]
1955年、岐阜県生まれ。岐阜大学教育学部美術工芸学科卒業。1981年に岐阜県美術館開設準備室に勤務、82年の開館にともない同館学芸員として勤務。86年に愛知県美術館建設事務局、92年の開館にともない同館学芸員として勤務、2011年より同館副館長を務め、2016年に岐阜県現代陶芸美術館館長に就任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
127
図書館本。「ワイエス展」鑑賞の予習、復習にと思い借りてみた。今回の展覧会がオルソン・ハウスでの作品を中心とした展示とのことだったので、予習ではその部分を意識的に読んだ。吹き抜ける風、窓辺のゼラニウム、ブルーベリーの青…眺めながらアルヴァロとクリスティーナの生活の匂いや思いを感じることができた。それを踏まえて観た実物は静けさの中にもより鮮やかな印象。これがあれか!と興奮した。帰宅して今度は復習。解説までじっくり読んで余韻に浸った。ワイエス初心者ですが、十分楽しめる一冊でした。2019/12/08
藤月はな(灯れ松明の火)
87
アンドリュー・ワイエスについて知ったのはつい、最近。NHKの日曜美術館がきっかけだった。地味に見えるが、引き込まれてしまう彼の絵。それは「アメリカン・ドリーム」という定義に縛られていると停滞しているように見えるが、田舎の人々のあるがままの姿や日々の営み、それを可能にしている物事の本質に対し、敬愛が篭められているからなのかもしれない。『クリスティーナの世界』シリーズは余りにも有名だが、個人的には「遠雷」、「カール」、「カーナー夫妻」、「恋人たち」、「穀物袋」、「アルヴァロとクリスティーナ」も好きだ。2017/10/02
booklight
45
なぜ、絵画を見るのか分かった。それは目から入る刺激が様々な体内の反応(想い)を引き起こすからだ。形や色が、現実の意味とは別に、何かを引き起こす。たとえば「海からの風」のレースの風に舞う様が、まざまざと「想い」やそれ以前の何かを引き起こす。そういう生の、未分化でより根源的なものに触れたく、絵を見る。ワイエスの絵を見ていると、そういったものに気づかされる。生の厳しさや儚さ、美しさや不思議さ、そしてそれだけでない何かを、人や風景のワンシーンで。それとは別次元で筆先の楽しみというのあるのだろう。不思議だが面白い。2019/10/15
井月 奎(いづき けい)
42
テンペラという古風な画材、モダンアート全盛の二十世紀後半に写実的な画風。これだけ聞くと天邪鬼とも思える画家ですが、その描く世界はけしてまったくの「この世」ではありません。すこし精霊の目から見た「この世」もしくは精霊のすむ世界に半歩踏み入れて描いた世界です。見飽きることのない画面、いつの間にかその中にいるような気にすらなります。この画家を教えてくれた原田マハに感謝ですな。2023/09/10
booklight
34
【夏休再読】美術館にもいかず、好きな画集を再読。そうか、ワイエスは、日常の中で心を動かされるものだけをシンプルに描いていたんだなと納得する。それは単なる色や形だけだったかもしれないし、降り積もる澱のような人生の労苦や、何代にも重なった歴史を凝縮した末の漂白された光景なのかもしれない。それを生活の中で見て、揺らぎもせずにまっすぐに描いてきたのだろう。描かれた絵を見て、ワイエスが感じたであろう揺らぎを感じて、心を動かされる。生きていくこととは別に心が動いてしまう。そんな日常があることをワイエスは伝えてくれる。2021/08/09