出版社内容情報
【著者紹介】
福井 麻純(フクイ マスミ) 1973年、名古屋市生まれ。関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程単位取得。2002年より細見美術館学芸員(現在は主任学芸員)、展覧会企画などを担当。中村芳中、神坂雪佳らの琳派研究を中心に行う。『光琳を慕う 中村芳中』(共著、芸艸堂、2014年)など。
内容説明
「近代琳派」と称された神坂雪佳。琳派の特徴のひとつである「暮らしを彩る美」に強く共感、図案家として活躍したほか、絵画も手がけるなど、工芸と絵画の分野を柔軟に行き来したマルチアーティストです。伝統からモダンまで、デザインからアートまで、雪佳の豊かな表現力は、実生活と芸術の境界をはるかに越え、世界的評価を受けている日本の美意識、「クールジャパン」にもつながっているといえるでしょう。
目次
1 美しい図案集
2 工芸家たちとの共演
3 豊かな表現力
著者等紹介
福井麻純[フクイマスミ]
1973年、名古屋市生まれ。関西大学大学院文学研究科博士課程後期課程単位修得。2002年より細見美術館学芸員(現在は主任学芸員)、展覧会企画などを担当。中村芳中、神坂雪佳らの琳派研究を中心に行う(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Mijas
47
琳派の継承者と評される神坂雪佳。細見美術館を訪れたとき以来、雪佳に魅了され続けている。美しく、温かみのある柔らかな作品や図案が紙面を飾る。眺めていると心地良く、ゆったりとした気持ちになれる一冊。雪佳のデザインは様々な工芸品にも渡っているとのこと。川島織物もその一つで、色々欲しくなってしまう。源氏物語などの古典文学、謡曲、和歌などをテーマにした作品が多いのも好きなところ。「四季草花図」は、四季の草花が一度に咲き誇るという現実にはない世界。雪佳のそれもまた、草花の配色が明るく、観る者を幸福にさせてくれる。2017/02/27
シフォン
20
神坂雪佳は、絵画だけでなく、染織、陶芸、漆芸など幅広く活躍された方なのですね。作風は、明らかに琳派の流れなのですが、写実的でおだやかでやわらかい印象を受けます。四季草花図のように一枚に春夏秋冬の草花を盛り込んだもの、いろいろなデザインの蝶をモチーフにしたものもいいなと思いました。2016/01/30
遠い日
6
琳派の灰汁をちょうどいい具合に抜いた印象の神坂雪佳。図案家としての技量が、抜群。テキスタイルとして現代にも通じるものがあると感じます。また、工芸品の諸々もすばらしい。日常の道具としての美。美しいものはいいな。心がふくふくとして満たされる。2022/06/07
うちだ
5
個人的に気になっていた神坂雪佳。私淑、図案化、たらし込み。そのスピリットは確かに継がれているように思います。代表作の「百々世草」での淡く柔らかい色合いは繊細で美しく、四季の花が一枚に描かれる「四季草花図」は現実ではあり得ない姿なのに品よく収まっています。大正〜昭和初期を生きた絵師だからか、全体的にどこかモダンに見えます。宗達〜光琳や光琳〜抱一と同じく抱一〜雪佳にも約100年の隔たりがある点や、光琳・乾山兄弟と同じく雪佳にも器を作る弟がいる点など、琳派継承者として運命的とも言える共通点があるのもエモいです。2024/06/15
takakomama
5
「かわいい琳派」で知った神坂雪佳。図案や工芸、絵画など幅広い分野で活躍しています。工芸品がとても美しく、もったいなくて使えませんね。草花を描いた絵画が好きです。2023/01/09