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目次
ビアズリーの生涯
1 初期作品と『アーサー王の死』
2 『サロメ』の衝撃
3 『イエロー・ブック』から『サヴォイ』へ
4 円熟の時代から終焉へ
ビアズリー芸術の特質
著者等紹介
冨田章[トミタアキラ]
1958年生まれ。慶應義塾大学文学部卒。成城大学大学院文学研究科修了。財団法人そごう美術館学芸課長、サントリーミュージアム「天保山」学芸部長を経て、現在、東京ステーションギャラリー館長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
藤月はな(灯れ松明の火)
88
昨年、滋賀県で開催されたビアズリー展にはとうとう、行くことができなかったのを今も後悔している。ビズアレーの作品はどぎついモチーフを内在しながらも繊細で耽美、だからこそ、スキャンダラスで蠱惑的。剽窃疑惑で叩かれ、オスカー・ワイルドと仲が悪かったのにワイルド投獄の煽りで死を早めてしまうなんて・・・。浮世絵の影響を受けたと思われるポスターやヴァロットン的イエローブックの表紙にうっとり。そして『サロメ』の挿画にそんなに性的ニュアンスが込められていたとは!『女の戦争』のある絵には爆笑してしまいました。2017/09/22
みっちゃん
87
新聞で原田マハさんの書評を見て、図書館にすぐ予約。もう遥か昔の事だけど、ビアズリーの絵を初めて見た時の正直な気持ちは「気持ち悪い」でした。でも心がざわざわして、目が離せない、そんな強烈な印象でした。こう年代順に見ると、バーン・ジョーンズを思わせる中世好みの初期の作品と、【サロメ】の挿絵では随分違いますね。この黒と白の鬼才が25歳という若年ではなく、天寿を全うしていたら、どんな作品を描いていたんでしょうね。2014/05/24
greenish 🌿
64
グロテスクで流麗。エロティックで邪悪。『アーサー王の死』『サロメ』の挿画を世に送り、世紀末に衝撃を放った夭折の挿画家オーブリー・ビアズリーの名品集 ---原田マハ著『サロメ』を読みながら傍らにこの作品集を置き、ビアズリーの世界観を味わいました。不謹慎・不健全・奇怪・退廃…これら負の言葉が、ビアズリー作品への賛美の言葉で在らねばならない程の、圧倒的な画力。白と黒、余白の世界。病に侵され、常に死の淵にあり、体内に黒い魔物を宿したビアズリーが吐き出さずを得なかったであろう”我”への執着が、そこにある気がする…。2017/07/27
あたびー
26
ワイルド「サロメ」、マロリー「アーサー王の死」などで知られるビアズリーは1898年若干25歳の若さで命を散らしている。幼少時から結核の症状に悩まされていたらしい。バーンズや浮世絵、シノワズリ、ロココ等様々なイメージを貪欲に吸収し発酵させビアズリータッチを開花させていった彼が20世紀を迎えずして世を去ったのは誠にアート界の大きな損失であるとしか言いようがない。死後に控えていた様々なアートシーンを彼がどのように消化しただろうとか、怪奇幻想文学の彼是にどのような挿絵をつけたであろうと想像すると哀しみがこみ上げる2020/02/20
うなぎ
17
原田マハのサロメを読んだら猛烈に画集が見たくなって借りてきた。解説にも原田マハのサロメにもあったけど、確かにビアズリーの黒の描線で描かれた絵は印刷された雑誌や本で見た方が迫力がある。なんでだろう?昔、三菱一号館美術館でみたヨカナーンの首に口付けするサロメの絵は思ったより小さくて毒気より綺麗な線画と思ったのも思い出した。サロメの挿絵の禍々しいイメージばかりだったけど、通して見ると絵柄も雰囲気も変わっていったのか。ビアズリーがロココ時代の銅版画に影響された『髪の毛盗み』の挿絵が繊細で綺麗で好みだった。2019/05/24