内容説明
桃山から近代まで、中心となる作家はもちろん、その手法や特徴を学んで創意を凝らした作家たちの優れた作品を紹介します。琳波が共有する美意識と多様な側面を解き明かすことで、今日の美術や、グラフィック、ファッション、インテリアなどのデザインに影響を与えている琳波の魅力の源泉を浮き彫りにします。
目次
第1章 琳派の登場(俵屋宗達筆「源氏物語関屋澪標図屏風」―王朝文学の情緒をかもしだす新演出;俵屋宗達下絵・本阿弥光悦書「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」―鶴に込められた和歌と祝祭のイメージ ほか)
第2章 琳派の確立(尾形光琳筆「紅白梅図屏風」―薄明かりのなかで輝く紅白梅;尾形光琳筆「燕子花図屏風」―人物の登場しない象徴的な物語絵 ほか)
第3章 琳派の発見(酒井抱一筆「月に秋草鶉図屏風」―光琳から百年、新たな琳派様式の創出;酒井抱一筆「夏秋草図屏風」―光琳への憧れが生み出した新しい美の世界 ほか)
第4章 琳派の伝統と再生(岡田三郎助筆「婦人像」―琳派再評価のきっかけ;浅井忠筆「鬼外福内」「秋庭」―アール・ヌーボーをとおして琳派を評価 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
13
大学図書館の廃棄本。貰ってきました。カラー写真がいっぱい。この前、根津美術館で見てきた作品も・・・!2014/05/17
NORI
11
図書館で琳派の特集をやっていたので読んでみました。入門書なので小難しい事が書かれてなくて読みやすい!酒井抱一が描いた絵巻の草花や小さな生き物たちが季節の移ろいを感じさせて良い。オオルリを描いた『桜に小禽図』がお気に入りです!2022/11/03
イリエ
7
琳派400年を記念したいくつかの展覧会に行き、後日購入しました。琳派のデザイン性の鋭さが時代順に平易に理解できる一冊でした。2016/02/12
m
5
フルカラーでじっくり琳派の世界に浸れた。いやー、美しい。こういうものを見ると、日本人に生まれて良かったとつくづく思う。宗達や光悦の伸び伸びと勢いがある感じも好きだし、乾山のモダンな感じも素敵。個人的に琳派と言えるのは酒井抱一、中村芳中、鈴木其一までだなぁ。描表装の美しさにもうっとり。琳派と狩野派の違いについても言及されており、疑問が解決した。花鳥画において狩野派は庭や山野の景色、琳派は草花のみの架空の空間、と覚えておこう。手元に置いておきたい一冊。おすすめ。2015/11/16
のら
1
近いうちに鈴木其一の展覧会を見に行くので琳派の予習。宗達から江戸琳派だけでなく、琳派に影響を受けたと思われる近現代の画家まで紹介している。大まかな歴史が分かりやすく書かれている。同じく金色の大画面絵画である狩野派との差異を説明するして、なんとなく分かっていたものが、明快に理解できた。絵が美しいので、できれば画集のような大きな版で見たかった。2016/09/14