目次
序章 世紀末ウィーンを読み解く6枚のカード(帝国都市ウィーン;多民族都市ウィーン;人物都市ウィーン;音楽都市ウィーン;ウィーン気質;ウィーンとユダヤ人)
第1章 世紀末への胎動(ビーダーマイヤーの時代と芸術;リングシュトラーセの時代;時代の寵児ハンス・マカルト;ウィーン万博博覧会;ウィーンのジャポニスム;ウィーンのカフェ文化)
第2章 新しい美の創造(ウィーンの自然主義と印象主義;分離派;クリムトと世紀末芸術;ウィーン工房;世紀末建築)
第3章 世紀末の夢の終り(エゴン・シーレ;オスカー・ココシュカ;オーストリア表現主義;悲劇の皇室;ウィーン世紀末の終焉)
著者等紹介
千足伸行[センゾクノブユキ]
1940年東京生まれ。東京大学文学部卒業。TBS(東京放送)を経て国立西洋美術館に勤務。1970‐72年、西ドイツ(当時)政府給費留学生としてドイツに留学。1979年より成城大学文芸学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
391
シリーズの画家別にまとめられたものとは、趣きも編集方針も随分と異なる。すなわち、ここでは世紀末ウィーンの持つ独特の社会性、及び文化全般を有機的に語ろうとするのである。こと絵画に限って言えばやはりクリムト、シーレ、ココシュカということになるだろう。そして、建築の分野ではオットー・ワーグナー、オルブリヒ、ホフマン等が活躍し、音楽界にはマーラー、シェーンベルク等が。さらにはかのフロイトもウィーンにいたのである。なんとも絢爛豪華、かつここウィーンにしかない文化が一斉に花開いたことか。それはまた危険な耽美であった。2021/03/12
Nat
34
図書館本。世紀末のウィーンの様子がよくわかる。去年の夏にウィーンに行ったことを思い出しながら読んだので、とても楽しく読めた。暑い時だったので、リンク一周を歩かなかったが、涼しい時ならフロイトのように歩いて周るのも楽しそう。2025/03/23
石油監査人
19
「世紀末ウィーンの美術」を読みました。この本では、19世紀末の分離派の盛衰を、当時のウィーンの政治状況や時代背景、ハプスブルク家の歴史なども交えて解説しています。クリムトやシーレなどの絵画の話題が中心ですが、ウィーン工房の家具やファッション、デザイン、そして、オットー・ワグナーに代表される分離派の建築についても、ページが割かれていて、興味深く読むことが出来ました。また、ウィーン工房の仕事を日本に伝え、近年、評価が高まっている上野伊三郎・リチ夫妻の事も紹介されていて、いずれ、作品を見たいと感じました。2021/02/10
miho
14
【2023-013】【図】昨日(1/26)から始まったエゴン・シーレ展(@東京都美術館)へ向けて、エゴン・シーレと世紀末ウィーンの美術を予習したくて借りてきました。クリムトは好きでなんとなくの知識はあるのですが、エゴン・シーレについてはほぼ知識なし。アートや彼の人生だけでなく、ウィーンという街や当時の建築にも触れられていて、多角的に学べてよかったです。2023/01/26
またの名
11
その名も『自慰』という題名通りの自画像を描いたシーレを、百合萌えロリコン男として紹介。幼女誘拐容疑で逮捕されたが弁護の余地はあるグレーなシーレ特集の隣に、自他ともに認める筋金入りロリ&ショタコン文学者アルテンベルクと建築家ロースを掲載する本書が見せるウィーンは、人々が政治や社会の改革に無関心で官能的な喜びのことしか考えてない芸術都市。マーラーから妻アルマを奪ったもののフラれて彼女そっくりな人形を造らせ慰めとした画家ココシュカの三角関係話などが溢れる街で、フロイトが登場したのは必然だと言われても違和感ナシ。2016/10/15
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- 和書
- 死の舞踏 福武文庫