目次
序章 七尾時代―絵仏師として
第1章 京都に上る―雌伏のとき
第2章 等伯前期―中央画壇にデビュー
第3章 等伯後期―自雪舟五代を名乗る
第4章 等伯晩期―法橋から法眼へ
総論 長谷川等伯の多彩な魅力
著者等紹介
黒田泰三[クロダタイゾウ]
1954年福岡県生まれ。九州大学文学部哲学科美学美術史専攻卒業。現在出光美術館学芸部長。博士(文学)。専門は日本絵画史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ナイスネイチャ
43
図書館本。小説「等伯」を読んで。いいなあもう一度小説読みたい。2014/04/13
かっぱ
31
【図書館本】安部龍太郎の「等伯」を補完するために借りました。この本を読む限り、等伯に対する狩野派からの妨害があったことよりも、その牙城を突き崩そうとする野心家等伯の強かな姿が浮かび上がる。楓図は、大木を中心に据える狩野永徳の画風を真似てはいるが、永徳の檜図と比べると、細かな草花が描かれており、より写実的で華やかさがある。狩野永徳という当時の大画家に対して、どう挑んでいけばいいかを試行錯誤しながら描いた等伯の戦略が感じられる。松林図は未完成、もしくは、下書きである可能性もある。2014/05/25
ヴェネツィア
18
これまでのコメントにもあるように、等伯の入門書には最適だろう。色彩の再現も上々で、障壁画の金地も鮮やかだ。ただし個人的には、「松林図」の持つ独特の象徴的といってもよいような、一種独特の寂しさの表現に魅かれるのだが。2012/04/18
アキ
17
今年3月にオープンしたばかりの大阪中之島香雪美術館で等伯の「柳橋水車図」を見た。金箔で優美な橋とキャッチ―な柳の取り合わせが現代にも通じるデザイン性があると感じた。京都には寺院に等伯の絵が数多く残されている。多くの襖絵や屏風をこの目で見てみたい。「竹林猿猴図」のふわふわな猿。「松林図」のけむる景色。「老松図」の太い幹。「四季柳図」の風にゆれる柳。息子の久蔵の絵「桜図」がせつない。能登七尾で生まれ、33歳京に上洛。55歳で息子・久蔵に先立たれ、72歳江戸にて没する。死ぬまで真面目に絵画を極めた。2018/05/23
荒野の狼
16
本書は、画家の生涯と作品を5期にわけて紹介。解説は簡潔で平易なので数時間あれば通読可能。本書はすべてカラーページで掲載されておる、絵も比較的大きいので、ある程度鑑賞の目的にもなる。たとえば東京博物館の瀟湘八景図p40などの横長の屏風などは上下に掲載し、なるべく大きく、しかも白紙の部分が最小限になるように工夫してあり、絵を見ているだけで描かれた地形をみているかのような感覚にしてくれる。等伯作品を収蔵する京都の寺院の地図p5は優れているが、等伯作品を収蔵するこれらの寺院は一般公開されていないところが多い。2019/01/31