内容説明
天下人信長・秀吉や京の町衆に愛された華やかで革新的な美の世界。黄金で飾られた壮麗な城と、侘びの美を追究した小さな茶室。西洋文化との出会い、異風のものを好む美意識。さまざまな価値観が入り組み、多彩な文化を生んだ時代を天才たち(人物)とキーワード(ことば)で紹介する。
目次
第1章 天下人とその時代(織田信長―桃山文化の立役者;安土城―信長の世界観と美意識を具現化;イエズス会―世界布教による西洋文化の伝来 ほか)
第2章 桃山の絵画(狩野永徳―新時代「桃山」の絵画様式を創造した天才;塔頭と障壁画―大名・貴人が造立した菩提寺;狩野光信―狩野派の命運を江戸につないだ永徳の嫡男 ほか)
第3章 桃山の工芸と芸道(本阿弥光悦―多才なアート・プロデューサー;近衛信尹―寛永の三筆のひとり;烏丸光広―歌に書に才気あふれる宮廷人 ほか)
著者等紹介
奥平俊六[オクダイラシュンロク]
1953年愛媛県生まれ。東京大学大学院博士課程退学。現在、大阪大学大学院教授。中近世絵画史以外に、最近はアウトサイダー・アート関連の著作もある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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いくっち@読書リハビリ中
3
図書館の新刊コーナーにあったのでサクっと借りてきてみたが、なかなか面白い分類をしていてわかりやすい一冊だった。狩野派よりも琳派な私ですが、人としての苦悩とかを知っちゃうと見る目が変わっちゃうなあ。御用絵師は給料制だったとか、武人画家がたくさんいたとか謎の岩佐又兵衛など。それにしても織部の茶碗はひび割れ煎餅のようだよ。(←とっても失礼)桃山時代の美術年表、掲載作品の所蔵先、狩野派の系図などおまけつき。2009/10/08
ohmi_jin
2
各テーマや人物ごとに纏まっており、とても読みやすかった。この時代、為政者と芸術は密接に関わっていたことがよくわかる。2019/12/30
田中AD
0
桃山時代は文芸の名著とか出てこないが他の芸術は名作がいっぱいあったのね。絵はまだわかるが壺の良さがわからないから飛ばす。そうえば原色の再現を目指した「日本の国宝、最初はこんな色だった 」に何件かこの時代のが載っていた。2015/11/28
K
0
人物のみならず作品の種類や技法についてもカバーされ、おおむね見開き1ページにまとまっていて読みやすい。茶道のことは全く知らない私は、封建制度による支配を固めようとした秀吉にとって、斬新な発想でひとを惹きつける利休の存在はむしろ邪魔であり脅威となり得るために切腹を命じたという内容の記述に、芸術の持つ力の恐ろしさとともに、それに気づき侮らなかったからこその天下人秀吉だったのだろうかと感じさせられたのでした。2018/04/17